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ドローン空撮[技術解説] - スチール撮影用マルチコプター入門

マルチコプターの安全性に関して

「スチール撮影」に限定した、マルチコプター導入ガイドです。
対象は、「写真を仕事としていて、新規にマルチコプター採用を検討している方」

0 [Zero]は、マルチコプターを動画・スチール撮影に用いています。
発注者は、様々な技術に明るい方が多いのが特徴。
そして、お近づきとなった多くの関係者に、マルチコプター購入をおすすめしています。
ここでは、その方々に口頭にてお伝えしていた内容を文章として残します。

注意:はじめに
このページの内容は、写真に関して一定水準の知識があり、ラジコン未経験者だがマルチコプターの導入を検討している。
この様な方を対象としています。
具体的には、「フリーのカメラマン」「社内でマルチコプターの購入が確定し、その担当者となったカメラマン」
この様な方々を想定しています。
ラジコンに関する専門用語の使用は極力控えます。
ただし、今後の事もありますので、不明な単語はご自身で調べて理解してください。
内容は、スチール撮影に特化していることから、該当者には非常に有用な内容ですが、それ以外の方には不要な情報が多めになります。
また、このページは、一部の、「マルチコプターバブルに浮かれるショップには都合の悪い内容」です。
不快に感じる方もいるかと思いますが、ネット上の自由な発言の一部としてご了承ください。

以下の項目に関して解説します。
1:マルチコプターの歴史
2:どのカメラを搭載するか?
3:どこで購入するか?
4:クアッド(4)・ヘキサ(6)・オクト(8)のどれにすれば良い?
5:バッテリーに関して
6:ブラシレスジンバルは必要?
7:練習はどうすれば良い?
8:折りたたみ・分解式の機体の注意点
9:映像転送装置は必要?

1:マルチコプターの歴史

「マルチコプターは発展途上にある」

マルチコプターが仕事の道具として普通に飛ばせるようになったのは、2010年頃からです。
飛行機の歴史(1903年)や従来型ラジコンヘリコプターと比較すると生まれたばかりという世界です。
カメラの歴史に例えるなら、「レンジファインダーすら登場していない時代」と表現出来ます。

なら、突然降って湧いたようにマルチコプターブームは何なのか?
それは、操縦を補佐するセンサー類と動力バッテリーの進化が同時期に進歩したことに起因します。
スマホの進化による副産物とも言えます。
現在は、未完成な機械部分を高性能制御器機(ソフトは未熟)にてコントロールしている。
この様ないびつな世界がマルチコプターの2014年現在の姿です。
※機械的な信頼性では、従来型ラジコンヘリコプターが一桁上と評価

マルチコプターは飛行機に例えるなら複葉機の時代。
パイロットはメカニックを兼ねている時代です。
自動車も同様に初期にはメカの知識が必須でした。
※インジェクター登場前は、ドライバーのキャブ調整が普通
この事は、現在のマルチコプターにも当てはまります。
マルチコプターを安全に飛ばすには、必要十分な整備知識が必要です。
安全なラジコン専用飛行場のみのフライトなら、整備はプロ任せで問題有りません。
しかし・・・
商業空撮を行うなら、現場に一定水準以上のメカマンが随行するのは当然の事。
つまり、パイロットであるあなたが一定水準以上の知識と技術を習得する必要があります。

マルチコプターを旅客機や自動車に例える方がいます。
この方が間違っているのは、「マルチコプターは成熟期に入っていない」と言う点です。
機械部分に関しては、50年前の旅客機・自動車は、現在の姿と同一です。
21世紀となった現在も、昭和の時代のこれらが実用になっている点からも説明出来ます。
一部のショップからは、未熟なフライト技術は講習にて。
未熟な整備技術は、外部委託にてというセット販売をする意図が見て取れます。
墜落しても問題とならない用途なら、この方向性も認めますが、このページを必要としている方々には当てはまらない方向性です。
マルチコプターを責任を持って飛ばすには、メンテナンス能力が一定水準必要であると考え下さい。

もしも、社内で採用を検討していて、該当するパイロット兼メカニックの人材を用意出来ない。
この様な場合は、マルチコプターの採用見合わせをおすすめします。
整備を外部委託では、万が一の墜落事故の際に責任の有りかをハッキリと示せない。
これが、法人としては問題です。
そして、委託先のメカニックも数年前は、全くの素人。
一部には・・・現在でも素人レベルの技術にて整備委託を受けていると取れる方も存在します。
※ガソリンエンジン時代の知識は、あまり意味をなさないので気を付けてください。

参考:69) 「社員パイロット」の責任範囲

2:どのカメラを搭載するか?

「コンデジが賢い選択です」

マルチコプターは小型(概ね2.0kg以下)で業務を行って下さい。
搭載出来るカメラは、コンデジクラス。
DSLR搭載機は、最初の導入機としては候補から外して下さい。
十分な経験を積んで、重量機体を飛ばしても責任を取れるレベルになったなら、フルサイズミラーレスから搭載カメラを選択して下さい。
ミラー搭載機は、重く・広角域の画質もミラーレスに劣る。
レンズは、最新設計(ミラーレス対応の短フランジバック)の単焦点の一択です。
重量・画質の面から、重たいズームレンズを空撮に用いる理由がありません。
重さは、機体・ジンバル(カメラの搭載機構)などの、サイズ・重量増と悪循環に至ります。
安全の為には1gでも軽量とする事。
ここを心がけて下さい。

DSC-RX100 DSC-RX100M2 ◆0 [Zero]では・・・
2014年5月の段階では、以下のコンデジを用いています。
昼:SONY cyber-shot DSC-RX100(2012年6月発売)
夜景:SONY cyber-shot DSC-RX100M2(2013年6月発売)

これらのコンデジは、ひと世代前のフルサイズ一眼+普及価格帯ズームレンズと同等。
これを実写にて確認しています。
過去に画質面から、この機材が問題とされたことは一度もありません。
パンフレットの表紙に用いられる画質です。
欠点は、RAW現像がいつも通りにはいかないところ。
ここも慣れれば問題が無い範囲です。
フィルタ・フードなども必須と言えるのですが、ここは現役カメマンの方にはコメントは不要かと思います。

0 [Zero]は、マルチコプター(主としてコンデシ)とバルーン(主としてDSLR)に用いる事から、採用検討に入るカメラ全てを発売初期に購入しテストしています。
D800(定番機)も、α7R(D800Eを凌駕する画質)も導入しているに、DSC-RX100(2年前のコンデジ)がスチール撮影のメイン機。
確信的にコンデジを用いている事がわかって頂けるかと思います。
参考:キヤノン5Dmk2(2008年)
参考:ニコンD700(2008年)
参考:広角Lレンズ比較(2009年)
参考:ミラーレス一眼(2010年)
参考:ニコンD800(2012年)
参考:α7R(2013年)
参考:コンデジ(2013年)

DSC-RX100は、純正でフード・フィルターが装着出来ません。
その為に、取付アダプターを自作。
※ステップアップリングを削って両面テープにて貼り付け
フードは汎用品を必要画角に合わせて削っています。
DSC-RX100M2は、夜景主体である事から、フード装着を想定していません。
DSC-RX100は、レリーズが無い事からシャッター機構をメカニカルで自作(小型のサーボ)
DSC-RX100M2は、純正レリーズをラジコン操作可能な物を制作しています。
どちらも、オリジナル機体を制作出来る工房なら改造を受け付けてくれると思います。
ただし、確実なレリーズには、ハード・ソフト両面の現場での微調整が必要です。
可能な限り自作する方向をおすすめします。
参考:α7Rリモートレリーズ制作(DSC-RX100M2に転用可能)

3:どこで購入するか?

最初は、国内のショップから軽量な完成機の導入をおすすめします。
基本的には、ショップからのフライト指導や維持サービスを推奨しません。

※最初期は認めます(3.0kgクラス以上は不可)

最終的に実務でマルチコプターを用いるにはパイロットが機体メンテナンス能力を身につける必要があります。
具体的には・・・
・モーター内部のベアリングを交換出来る
・モーターコントローラーの交換・設定が出来る
・フライトコントローラーのファームアップが出来る
・機体に発生している微振動の原因を解明出来る
・現場で発生している妨害電波の発生源を説明出来る
・墜落・暴走が発生した場合は、原因を解明出来る
この様な事を最終的に自分で身につける必要があります。
メンテナンスの外部委託などをしていると、永遠に習得することが出来ません。
もしも、企業としてマルチコプター導入を検討していて、メンテナンス部分は外部委託する事が確定しているなら・・・
あなたは、現場責任者から外れる事をおすすめします。
理由としては・・・
万が一の事故の場合は、パイロットであるあなたが大きな責任を負うことになります。
これは、社用車を用いた勤務中の事故と考えれば良いでしょう。
会社からの業務指示の場合のフライトでも、死傷事故を起こせば刑事責任を問われます。
その確率は、自動車事故と比較にならないほど高い数値です。
その際に、機体の瑕疵や初期組み付け不良に事故原因があったと判明したとします。
その場合も、保守を行っていたショップは全力で責任から逃れようとするでしょう。
もしかすると・・・保険に入っているから大丈夫(ショップ側・パイロット側共に)と言うかもしれません。
その場合も、保険会社がすんなりと支払うとは、私には思えません。
私が、保険会社の立場なら機体の瑕疵や管理義務などの隙間を厳しくつきます。
「支払わない」とは言いませんが、満額を支払うことはありません。
最初期の大規模な墜落事故で、満額支払いの歴史をつくるのは、いろいろの意味で保険会社の立場からは都合の悪いところです。
重要なのでもう一度。
保険と刑事責任はべつもの。
万が一の事故の際には、パイロットが 刑事責任を問われる。
そして、普段のメンテナンスと現場での、「気付き」は、事故を防ぐ最大の防御方法です。
自分で責任を取らなければならない以上は、メンテナンスも自分で行うべき。
この視点にて機体の購入元を考えます。

それでは本題に入ります。
A案:国内のショップにて完成機体購入
B案:国内のショップにて半完成機体購入
C案:海外通販にて半完成機体購入
これが現実的な選択肢です。
最初は、A案の完成機体購入でも構いません。
しかし・・・
実務開始の時点では、B案の半完成機体購入をし自分で組み立てが出来るところまで待って下さい。

以下がおすすめのステップとなります。
1:フライト練習用として1万円程度の機体とスペアパーツ購入 【2万円程度】
2:国内ショップにてスチール撮影可能な完成機一式購入※ 【30万円程度】
3:練習を兼ねて安全な場所でフライトと日々のメンテナンス
3:知識が付いたところで、半完成機の購入 【20万円程度】
4:実務開始
※機体・カメラ・送受信機・バッテリー・充電器など

◆それで、どこから何を買えば良いの?
良くも悪くも具体的にショップ名を出すと問題となります。
目安としては、50万円以上の初期投資を強いるところは、どうかと・・・
最終的には、100万円程度の投資はプロの道具としては必要かと思います。
仮に、総額200万円などという提示なら・・・
良いようにカモにされていると考えて良いと思います。
これで、機体側の故障・整備不良が防げるなら安い物ですが・・・
キチント技術を習得したパイロットが飛ばす、20万円の機体の方が遙かに安全です。
技術の習得の為の投資は、強く推奨します。
しかし、丸投げのメンテ委託は必要有りません。
ちなみに・・・カーボンフレームなども注意が必要。
カーボンパイプなどは、アルミパイプに置換しても重量増は微々たる物。
墜落後の破損などが形に残らないことから、初めての機体ならアルミフレームの方が優れると思います。
また、究極に軽量化を進めたいなら・・・
カーボン材の採用よりも、アルミ削りだしパーツの軽減や軽量ネジの採用の方が効きます。
カーボン材は使っているけど、ネジはスチール系(ステンレスなど)が正しくない方向に向かっている機体です。
難しい事を言っても、最初はわからないので、可能な限り安価な機材にて研究をスタートしてください。
経験を積んでくると、ここで表現しようとしていることが理解出来ると思います。
もう少し具体的に言うと・・・
2014年現在なら、DJIファントムを最初の機体にしましょう。
これに、ブラシレス以外の従来型ジンバルを搭載。
これで、想定予算に入ります。

ショップで具体的に話を聞くと、高価な機体を買いたくなるかと思います。
それでも、初心を貫いて下さい。
利害関係が全く無く、電気・情報処理の資格を有しつつ、産業ロボットの開発履歴もある。
この様な0 [Zero]からのアドバイスです。
現場でも、ご担当者にお話ししていますが、「皆さんが、どんどん撮影をしてください」
けれど・・・
より高い安全性と、困難なワークに出くわしたときは、0 [Zero]を呼んでください。
直上にホバリングさせてスチール撮影を行う。
この様な簡単な撮影は、可能な限り現場のカメラマンが対応するべきです。

4:クアッド(4)・ヘキサ(6)・オクト(8)のどれにすれば良い?

まずは、各々のメリットとデメリットを理解しましょう。

以下が、スチール撮影と限定した場合のメリットとデメリットです。
・クアッド(4):軽い・安い・整備が容易・トラブル時には真下に落ちる
・ヘキサ(6):中間
・オクト(8):重い・高い・整備が複雑・トラブル時に真下に落ちにくい

モーターの数を、「安定性」で語っている場合がありますが・・・
その意見は却下して構いません。
モーターの数で安定性が決まるのはパン方向が主たるところです。
「モーターの数が増える事により分解能があがる」この様に技術的には表現出来ます。
最初の頃は、クアッド(4)・ヘキサ(6)のどちらでも構いません。
DSLRを搭載するタイミンクで、その時の知識と用途からオクト(8)も含めて検討をしてください。
どのような段階でも、重量級(3.0kg以上)の機体採用は認めません。
この種の機体では、クアッド(4)のデメリットが無視出来ません。

仮に、0 [Zero]がスチール撮影専用機として開発委託をされたなら・・・
DJI PHANTOM をベースにモーターとプロペラを強化。(大型プロペラ装着の為にアーム延長)
サーボモーターを2個用いた市販ジンバルを搭載。(制御はフライトコントローラーから)
搭載カメラは、DSC-RX100。
フライト重量は1.4kg以下で標準フライト時間は5分。
この様な機体を設計します。

◆0 [Zero]では・・・
真下への即時墜落をさける観点からヘキサ(6)を採用しています。
※非常時に墜落場所を選べるパイロットが操縦
クアッド(4)を採用している機体は、「真下に落ちても致命的な墜落にならない事」という基準で選択されています。
※結果として室内専用の1.0kgクラス誕生 参考:64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
開発は断念しましたが、マンション眺望撮影専用機では、「敷地外に暴走させない」という観点からクアッド(4)にて検討をしていました。
参考:67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
モーターの数は、以上の様に「墜落時の挙動」を根拠として選択しています。
将来的には16モーターなどの採用の可能性も残します。
※プロペラの破壊力を落としつつ、重量カメラを搭載するパターン

5:バッテリーに関して

安全運用の最重要パーツが動力バッテリ

リチウムポリマーバッテリーの充電や管理に関しては、必要な情報はネット上にも十分あると思いますので割愛します。
ここでは、スチールカメラマン特有の温度管理に関して重点的に解説します。

ご存じの通り、冬期はバッテリー性能が下がります。
カメラのバッテリーなら、シャッターが切れないだけで他人には迷惑を掛けません。
しかし、マルチコプターの場合は、即時の墜落に繋がります。
カメラと比較しながら冬期運用の知識を記します。

・離陸直前まで保温
・充電中も保温
・離陸後1分までは直前にてホバリングして観測
・不安のあるバッテリーは迷わず廃棄
・高価なバッテリーよりは、安価なバッテリーを頻繁に交換
・スチール用途なら最大8分のフライト時間で十分(実質5分)
・0 [Zero]の様な内部検査までは必要無し(可能ならば実施がベスト)

ここでポイントとなるのが、充電中も保温です。
カメラマンは過去の経験から、冬期はバッテリーを身につける事を実践出来ます。
離陸まで保温されていれば、後は使用中のバッテリー自身が発する熱にて性能は維持出来ます。
ここで、使用済みのバッテリーを再充電する際に保温するのを怠る事が想定出来ます。
放置した車両などでバッテリーを充電(その間に、別のバッテリーにて実務)
車内は0°近くまで温度が下がっている。
そのバッテリーを身につける事により「保温出来ている」と勘違い。
表面は暖まっても、内部は下がりきっている。
このバッテリーを保温されていると勘違いして機体に搭載。
様子も見ずに、高いところにピュ~と飛ばすと・・・上空にてバッテリー性能低下。
そこから墜落。
これが冬期に想定されるバッテリー温度管理ミス起因の墜落原因です。
ここを避けるには、屋外でも保温された環境にて充電可能なシステムを構築する必要があります。

また、夏場の温度上昇に関しても注意が必要です。
駐車車両にバッテリーを放置。
この様な事は激禁です。

MARINE BREEZE MAXCOLD ULTRA  50 ROLLER< ◆0 [Zero]では・・・
冬期の業務では、携帯カイロで加温しているクーラーボックス内でバッテリーを充電しています。
1,500m程度の山頂にて冬期に日の出を撮影。(氷点下10°以下=麓の直近観測ポイント値から推測)
この様な業務に用いましたが、この方法で問題無く業務は完遂出来ました。
湯たんぽ式も検討しましたが、取りあえずは携帯カイロ式で研究は進めます。
なお、冬期の実務の前にバッテリー低下による機能低下を実際に体験することをおすすめします。
このテストに用いる時に同容量の使い古しと新品も同様にテストしてみて下さい。
バッテリーの鮮度も安全管理には重要な部分だと体感出来ると思います。
もちろん、ある程度の技量に達してから実施するテスト内容ですので、初期は意識する必要はありません。
※初心者の段階では冬期の撮影は可能な切り自粛しましょう。
参考:88) リポバッテリー充電ステーション設計中

動力バッテリーは、マルチコプターの安全管理上の最重要パーツです。
購入したバッテリーは全数の内部検査。参考:50) リチウムポリマーバッテリー考察
少しでも怪しいと感じた個体は、即時の廃棄。参考:82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
墜落時の短絡事故を想定し必要なテストを実施。参考:54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト
夏期の車内温度を下げる観点からの車両改修。参考:83) マルチコプター空撮機材車
ここまでのテストを行った上での認識です。
ご参考まで。

6:ブラシレスジンバルは必要?

スチール限定機体にブラシレスジンバルを使ってはいけません。

ブラシレスジンバルは、スチール専用機には不要の装備です。
2014年現在は、価格も十分下がったことからショップからすすめられるかも知れません。
「値段は変わらないので、ブラシレスジンバルにしておきました~」などという、気を利かせるかも知れません。
それでも、「ジンバルは、2軸のサーボ式で!」と貫いて下さい。

◆ブラシレスジンバルのデメリット【スチール専用機】
・コンデジが非改造で搭載しにくい (ほとんどが、GoPro用)
・信頼性が下がる (想定外の微振動発生など)
・補修・設定が複雑

もしも動画も撮るかも?と言う場合は・・・
それでも、スチールと動画はカメラもジンバルも別立てを推奨します。
機体部分は共用もOK。
しかしジンバルとカメラは別立てとして下さい。

◆0 [Zero]では・・・
スチールと動画ではジンバルは別の物を用います。
動画では3軸ブラシレスジンバルを使用。
スチールでは、サーボ式(普通のラジコン用のサーボ)の自作ジンバルを用いています。
サーボ(ラジコン用)は、高性能なデジタルサーボは避けます。
高性能なサーボは微振動を伴うことから、画質劣化の方向に働きます。
この微振動をベルトで吸収するというタイプの場合は、この限りではありません。
コンデジ搭載前提なら、安価なサーボ直結が最も合理的な設計と考えています。
なお、機体側もスチールと動画では使い分けています。
これは必要とされる機体側の性能も異なる為。
初期の頃は、ここまで意識する必要はありません。

7:練習はどうすれば良い?

1万円以下のクアッドから入門

ネット通販などから1万円程度のクアッドコプターを購入してください。
その際には、予備のバッテリーやプロペラなども販売されてる商品・店舗から選択してください。
つまり・・・補修部品の買えないオモチャは、選択肢から外します。
1万円の機体でも修理を重ねれば、有用なノウハウを身につける事が出来ます。
なお、最初の購入時にスペアパーツを大量に購入する必要はありません。
購入するにしても、予備バッテリー程度に留めておいて下さい。
練習レベルが進んでくると、必要な予備パーツも見えてきます。
そこから先は、ご自分の壊し方と相談しながら、修理・フライトを継続的に進めます。
この段階で問題となるのが、法人の場合は経費購入。
細々として模型のパーツなので大変かと思います。
今後の事もありますので、何とか社内調整を付けてください。
マルチコプター空撮に限りませんが、ラジコンは細々としたパーツが無数に必要になります。
主要な物はストックしますが、マイナーパーツは都度購入が基本です。

練習場所は屋内に限定。
予算に余裕があれば、ラジコン用のフライトシミュレーターの購入もおすすめします。
過去に動画撮影用のフライト技術習得を目的として以下のページを書いています。
入門編:映像制作者向け「パイロット技術を身につける方法」
上級編:動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック

上記のページでは、動画撮影用を想定したパイロット育成マニュアル。
今回はスチール用となるので技術習得レベルは一桁下がります。
「100名中1名」という表見などで、一線級の動画撮影のフライト技術習得が困難と表現としていますが・・・
ご安心下さい。
スチール撮影の場合は、ほとんどの方が、技術習得可能です。
自転車が乗れる運動神経を持っていれば撮影可能なレベルに達します。
もちろん、フライト技術は高い方が良いのですが、貴重な時間を積極的に割いてまでフライト練習を行う必要はありません。
ただし・・・
自信が無い場合は、真上に揚げるのみに限定して下さい。

◆0 [Zero]では・・・
創業当時(2001年頃)は、建築CGを業務のひとつとしていました。
現在の主パイロット(開発者)は、この分野でも一線級の能力を持っています。
その当時の経験から、地上から上空のベストなアングルを推測する能力を持っています。
0 [Zero]のスチール空撮が優れているのには、この様な理由がありました。

8:折りたたみ・分解式の機体の注意点

出来れば避けてください

「上空で、モーターのひとつが止まる」
この様なトラブルの多くは、接点の接続不良などに起因します。
特に容易に分解を認める機体は、接点が多くなる傾向にあることから、この点の信頼性が劣ります。
理想的には、接点を排除がベストなのですが、現場での柔軟な部品交換なども考えるとここまでは攻めにくいところです。
もしも、移動車両のスペース的な余裕があるなら、不要なリスクを呼び込む機体の採用は避けるべきと考えています。
もちろん、組み立て式も、「分解しないなら問題は少なくなります」
どうしても組み立て式しか購入選択肢が無いなら、不必要な分解・組み立ての頻度を下げる努力をお願いします。

ハイエース内のマルチコプター ◆0 [Zero]では・・・
特に理由が無い限りは、業務前日にフライト調整をおこなったままで、機体を運搬します。
←UTMF2014撮影中の機材車
1.0kgクラス1機(動画)
2.0kgクラス1機(動画)
2.0kgクラス1機(スチール=ジンバル交換で動画対応)
4.0kgクラス1機(スチール専用)

この日に持ち出している4機全ては、非組み立て式の機体で即時離陸状態にて移動しています。
空撮専業の会社の機材車ですので当然と言えるのですが・・・この状態でも6名乗車を確保。
将来の想定では、2名乗車で16機搭載までは想定されています。(災害活用想定)
ここまで積み込んでも、機体の分解は選択肢に入っていません。
それくらい、不必要な接点の切り離しを嫌っていると言うことです。

9:映像転送装置は必要?

電波法的に問題が無い器機ならば採用すべきです

ご存じの方も多いかと思いますが・・・
0 [Zero]は、画像転送装置の否定派です。
手元には合法の転送装置がありますが、取付すらしていません。
参考:48) ノーファインダー撮影が基本

なぜ、転送装置を付けないのか?
ここに疑問を持つ同業者は、沢山いると思います。
そのラジコン出身や動画出身のパイロットにはイメージが難しい話なのですが、スチール系の方々にはすんなりと入ると思います。
理由は、「初心者は固定レンズで写真を覚える事」
ここと通じています。
スチール写真の入門レベルで便利なズームレンズを持つと、カメラマンは動かなくなります。
そして、レンズの広角端と望遠端を頻繁に使う癖が付いてしまいます。
これを嫌って画像転送装置の採用に消極的になっています。
0 [Zero]のパイロットが2011年に、マルチコプターに参入した際にも画像転送装置は、合法・非合法共に販売されていました。
※技術レベル低い同業者は非合法を採用した時代
2014年5月現在も、画像転送装置は用いていません。

0 [Zero]でも、画像転送装置の有用性は認めます。
しかし、早期の画像転送装置の採用は、現場での柔軟なフットワークの妨げとなります。
自分で動く事によりバリエーションを付けるという引き出しが少なくなります。
動画の世界に限れば、0 [Zero]ほど柔軟なワーク発想力が他社のサンプル・実績から感じる事は出来ません。
もしも、2014年現在の0 [Zero]レベルを最終的に目指しているなら、画像転送装置は、持っても使わないとすれば良いでしょう。
通常のスチール撮影なら、上空での三次元的な位置が10m単位で狂っても大きな問題とはなりません。
それ以上に、主福の被写体の重なり具合をコントロール(地図上から暗算)出来る能力の方が遙かに必要です。
画像転送装置は用いませんが、Google マップ は必須の空撮ツールです。
そこまで、濃密な空撮を計画していないら、最初から画像転送装置を用いるべきです。
2014年5月現在では、市場には出ていませんが、今後数年の定番となる商品が市場にはスタンバイされています。
実売価格も業務想定としては無視出来る範囲。(実売20万円以下)
なお、スチール限定機と考えると実売3万以下の合法器機でも可とします。

◆0 [Zero]では・・・
画像転送装置の本格採用は、機体の大幅なバージョンアップ後と考えています。
機体の主たるコントロールは0 [Zero]のハイロット。
カメラ操作は、現場のカメラマン。
主として動画機体での活用を考えています。

公開日:2014/05/13
最終更新日:2014/12/18
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78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

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