Ver6_img

ドローン空撮[技術解説] - マンション眺望撮影専用機体の開発開始

マンション眺望撮影専用機体の開発開始

ご注意下さい
2013年10月にマルチコプタージャマーの存在を明らかにしました。
また、2013年現在はマルチコプタージャマーを完全に防ぐ方法が無いという結論に至ったことから、マンション眺望撮影用の機体は、無期限の開発凍結となりました。
以下のページ内容に関しては、記録として残しますが、空撮サービスのご提供はありませんのでご注意下さい。

14階相当

15階程度までの低層物件を対象

経験値を上げる観点から、15階程度(50m以下)の低層物件からサービスを開始します。
この業務では都心のタワーマンション(100mオーバー)などと比較すると求められるクオリティは下がります。
しかし、コスト的な縛りが出てきます。

現場で必要とされる画を低コストで提供。
もちろん、安全に・・・

これがコンセプトです。

億単位の画素数となるコルトン印刷への対応は不可能です。
しかし、「各タイプのバルコニー眺望を全て欲しい」などという、今まででは対応困難な案件でも現実的なコストで撮影出来る可能性が出てきます。
※このタイプの実務は製品化出来るかは不透明。

高台20階相当

画角120°の低コストパノラマ

←高台の物件の15階相当の高さから撮影したという前提の画像です。

20mm程度の広角レンズのカバーする水平画角は84゜
マンションのバルコニーから、「眺めた」という想定の眺望写真としては画角が狭い事になります。
180°が理想と思われますがこのパノラマ写真をマルチコプターなどで撮るには一般的には後加工が必要。
撮影に後加工が入ると・・・当然ですがコストは上がる事になります。

バルーン空撮では6年ほど前から360゜パノラマで1カット¥20,000というコストで提供しています。
画質はパノラマ空撮ギャラリーと同等。
今でも・・・十分「美しい」と呼べるレベルです。
このバルーン空撮のパノラマ画像よりも、低コストを実現しつつ同等のクオリティにしないと競争力はありません。

現場で求められるコストと画質から考えると、水平120゜程度で提供価格は1万円以下。
まずは提供する商品を固めてから、機体の具体的な仕様選定に入ります。

SONY cyber-shot DSC-WX200

カメラはSONY cyber-shot DSC-WX200

WX200のスイングパノラマで安価なパノラマ画像を提供する。
このカメラ在りしの、眺望撮影専用機です。

試写した限りは目的(安価なパノラマ)を考えると、これで十分という結論に達しました。
SONY以外の、そこそこの重量と価格のコンデジのパノラマ機能よりも、DSC-WX200は優れていました。
パノラマ自動生成という分野でもSONYは他社をリードしているようです。

機体側の仕様

以下がマンション眺望撮影専用機として具体的に想定した仕様です。

・クアッドコプター
・重量1.5kg以下 ・対風投射面積軽減
・ワンマンオペレーション
・フライト時間10分
・スキッドレス
・ラダーフレーム
・小さなケースに格納

このページを記している段階では頭の中で完成形はイメージが出来ています。
今は発注済みのパーツが届くのを待っているという段階です。
この機体の外観の特徴はラダーフレームクアッドで、スキッドレスである事。
現在、他社がマルチコプターでマンション眺望撮影を行っていると思われる機体と、全てが異なります。

クアッドの理由
クアッドはトラブルが発生すると真下に墜落するという特性があります。
これを、メリットと解釈し建築現場専用機としてデザインします。
運用中は撮影ポイントの真下からコントロール。
これは真下の安全管理を重点的に行えば良い事を意味します。
眺望撮影で避けなければならないのが周辺家屋への墜落。
ここを死守するためのクアッドです。
撮影精度を保証する為にも、ここは重要なポイントです。

スキッドレスの理由
重量軽減・対風投射面積軽減・パノラマ対応という観点からスキッドは不要。
跳ね上げではデッドウエイトを持つ事になりポリシーに反します。
撮影現場は非整地であることが多く、ホコリを舞い上げるとカメラや機体へのダメージが入ります。
そして、ホコリを不必要に舞上げると周囲からのクレーム原因に成り得る。
以上から、離陸は専用の台から。
着陸はハンドキャッチ。

ラダーフレームの理由
スター型(中心から放射線状にフレームを出す)では機体の視認性が悪い。
スキッドレスであることから、スキッドを視認性改善には使えない。
そこで、フレームその物で視認性を改善する為に、ラダーフレームを採用。
各階層で撮影された画像の中心を綺麗に揃えるには撮影精度が大切です。
眺望撮影専用機は高い視認性が必要です。

まとめ

マンション眺望撮影の現場は普通のスチール撮影の現場と大きく異なります。
普通の現場以上に、周囲に気を使う必要があります。
周囲からクレームが入らない事は眺望撮影で重要な項目です。
ここでは触れていませんがプロペラの選択なども、人物近接前提の動画撮影機と大きく異なります。
プロペラ選択の重要な機能は、「音」。
それも絶対的な、「音量」では無く、クレームが入りにくい「音質」などに着目して選ぶなどの配慮が必要になります。
同様にフレーム剛性の設定時も、飛行音がマイルドになる方向で設計を行います。
一方で、墜落時の衝撃分散などの配慮は基本的に無し。
あくまで、眺望撮影業務に特化した形で設計は進められます。

「対風投射面積軽減」という表現も、本技術解説では初めての表現です。
これは、「可能な限り強い風の中で、パノラマ撮影が出来る事」
この実現に必要な性能です。
スキッドレスとするのも、風に対する抵抗力を少しでも高める為の観点からです。

重心に関する考えも、動画撮影機と大きく異なります。
通常の動画撮影機の場合はZ軸重心を高めに設定います。
マンション眺望撮影機ではZ軸重心を低め且つXY軸を可変とします。

ジンバルも動画撮影機とは別のアプローチが必要。
市販品でスイングパノラマを意識したジンバルは見たことがありません。
もちろん、フルスクラッチです。

ある意味「もっとも、0 [Zero]らしい」機体になります。

公開日:2013/04/17
最終更新日:2013/10/29
前へ一覧次へ

ドローン空撮[技術解説] 関連リンク

142) 【特願D】宅配ドローンヘリポート
141) 宅配ドローン着陸姿勢と特願A
140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
139) ドローンのデザインとは?
138) バッテリー初期不良の原因特定
137) DJI純正バッテリーの自己放電確認テスト
136) 5機目のDJI PHANTOM2
135) DJIは信用出来るのか?
134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
132) 宅配ドローン実証機制作 その2
131) 宅配ドローン実証機制作 その1
130) 航空法改正
129) 【特願A】実フライトテストNo1
128) 「ドローンから落下させる」機構制作とテスト
127) ドローンの飛行時間について
126) ゲインとは?
125) 首相官邸屋上のドローン落下事故に関して
124) リポバッテリーの検査方法
123) GoProのNDフィルタに関して
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測
121) 特許出願機の実体化
120) 墜落原因の報告義務について
119) 危険な業者の判断方法
118) 注文者責任のとらえ方の変化に関して
117) マルチコプターが旅客機を墜落させる
116) マルチコプター全面禁止というシナリオ
115) マルチコプター墜落原因の解析について
114) GPSハッキング
113) 管理責任者の表示
112) フライト総重量の明示
111) 湘南国際マラソン墜落事故を考える
110) 雨とリチウムポリマーバッテリー
109) DJI lightbridge テスト開始
108) DJI Phantomd純正プロペラの評価
107) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価 その2
106) SUNNYSKY Xシリーズの評価 その2
105) 大型機とFPVの解禁
104) 「螺旋下ろし」で安全な機体回収
103) 固定ピッチのメリットとデメリット おすすめ
102) 3Dプリンタ打ち出し部品を信じるな!
101) 3Dプリンタとマルチコプター
100) 技術解説100ページの区切
99) マルチコプターとPL法
98) スチール撮影用マルチコプター入門
97) リポバッテリー内部検査の理由
96) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価
95) SUNNYSKY Xシリーズの評価
94) フルスクラッチマルチコプターのススメ
93) SONY SEL1018は、マルチコプター空撮に使えるか?
92) Amazon Prime Air
91) α7とα7R
90) 動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック
89) 航空法第二条
88) リポバッテリー充電ステーション設計中
87) マルチコプタージャマーについて
86) 空撮屋必修の書籍 :「一般気象学」 おすすめ
85) 電波障害の再検証
84) 空撮会社のノートパソコン
83) マルチコプター空撮機材車
82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
81) プロペラバランスを極める
80) 機材車増車
79) 受注制限に関して
78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要