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ドローン空撮[技術解説] - 「フライト重量」は重要な技術スペック

「フライト重量」は重要な技術スペック
1.0kgクラス フライト重量

今回は他社のWebサイトを拝見し感じた事柄を取り上げます。
マルチコプター空撮の安全に直結しているフライト重量を公開していない会社が多い件について・・・

←0 [Zero]では常識と言えますが・・・
開発中途中も含めて機体重量は積極的に公開しています。
この時点(2013年4月)で、1.0kgクラス4モーターの公式「フライト総重量」は1,021g。
バッテリーの重量誤差がありますので、この程度は誤差の範囲です。
もちろん、公式スペックの計測時には使用予定のバッテリーからもっとも重い物を抽出して計測。
室内専用機がコンセプトですが風が弱ければ屋外もフライト可能。

なお、「フライト重量」とはカメラやその付随品(フィルター・データカード)と動力バッテリー。
つまり、事故の際に墜落する事になる重量で記す必要があります。

2.0kgクラス

公式スペックは常に「辛め」に表記

この時点(2013年4月)で、2.0kgクラス6モーター【高機動タイプ】の公式「フライト総重量」は1,988g。
ところが・・・
実務は1,766gの機体で行っています。
最近のドラマ撮影の多くはこの機体で撮影されています。

公式スペックよりは大幅に軽いのですが辛い方向に狂っているなら問題無しとの認識です。

なお、この機体は軽量且つZ軸方向の高い重心位置の関係から、特定条件下で問題を起こすことが発覚。
後日に、詳しい解説ページを起こします。
※この写真の撮影時にはZ軸重心の改修済み。

なぜ、フライト重量を公開しないのか? 【発注者目線】

ここでは発注者側からフライト重量を公開しない空撮会社の解説をします。

それは「そのマルチコプターは極めて危険」だからです。
危険と認識しているから、フライト重量をスペックとして公開しないのです。
具体的なフライト重量は一般の方でも事故の際の被害を想像するヒントを与えてしまいます。
「レンズ付きのデジタル一眼レフが高所から振ってきて、当たるとどうなるか?」
この様に考えるといいでしょう。

さらに、実機では二重化以上の安全対策が施されていますがラジコン(マルチとコプター)は対策がされていません。
当然の事となるのですが墜落率は決して低くない価となります。

つまり、5Dmk3搭載クラスは飛べる範囲全てで第三者を死傷させる可能性がある機材です。
0 [Zero]ではマルチコプターの危険を十分理解しているからこそ、このクラスは数年間は採用しません。

なお、このタイプの空撮会社は高額な保険に入っていると事が多いのですが・・・
保険のみでは被害をまかなえないと弊社では推測しています。

0 [Zero]の公式サイトのドローン空撮[技術解説]は2011年12月から公開がはじまり、この時点(2013年4月)までで65ページのコンテンツが制作されています。
業務で経験した墜落事故も可能な限り情報を開示しています。
墜落の際の周囲へのダメージを具体的に説明するために、実際に実務に用いる機体をテスト墜落させています。
軽量であることは事故軽減の最大のポイントと考え、カメラ内部も軽量化を実施しています。
フライト以外の事故のリスクを下げる観点から、移動中を想定したバッテリーの短絡テストも独自に実施。
あらゆる可能性を想定し、コストと時間を投入して安全性を向上する努力をしています。

ここまで、徹底的に技術を磨いている0 [Zero]がマルチコプターは暴走するという結論に至っています。
十分な知識も技術も無い歴史の浅い空撮会社が人の近くを飛んでいるのが2013年現在の日本の現状です。
海外系の優秀なデモリールを撮影しているのは従来型ラジコンヘリコプターも含め十分な経験を積んだベテランパイロットです。
「誰でも飛ばせる」の触れ込みで空撮に参入した、ここ最近の会社は極めて危険と言って良いと思います。

その一例がフライト重量を示せない空撮会社です。

なぜ、フライト重量を公開しないのか? 【同業者目線】

マルチコプターから空撮に参入・・・
個人的には完全なライセンス制とし危険な業者は即時に業務停止にすべきと考えています。
弊社を含め、まじめな空撮会社が必要なコストと時間を費やして確保している安全を、新規参入者により失うのは困ります。
この国は大きな事故が発生しないと対策をしない・・・
悲しいですがこれも事実です。

ではどの、「程度」がプロと呼べるかを具体的に記します。
・GPSを用いずに簡易なF3C静演技が可能
・初級の電気関係の知識
・初級の電気配線の実技

控えめに考えても、上記の三点は最低限と考えます。
そして・・・
これを一つでもクリア出来ない「プロ」が2013年の春の段階では多数存在する。
上記の最低限のプロの条件をクリア出来る方はフライト重量もキチンと書いている事が多い。
結局のところはその方のモラルに委ねるしか無いのが現状です。

仮に、私がハイレベルのライセンス選定の基準選考を任されたなら・・・
・マニュアルモードで数秒暴走後に、地上に戻す(マニュアルにて)
・ヘキサを上空にて強制的に1モーター停止。その機体を地上に戻す。

この程度の事は提案します。
突発的な機材トラブルでも、上記が出来るだけで生存率は上がります。
仮にトラブルとなっても、落とせる場所を選べるのは重要な一流のプロの条件です。

まとめ

この1年間で、マルチコプターの採用の場は格段に増えました。
しかし・・・
マルチコプターの信頼性には大きな向上はありませんでした。
何を言いたいかと言うと・・・

重大事故がいつ起こっても不思議では無い状況になっています。

0 [Zero]は1.0kgクラスの導入で、ますます重大事故から遠い場所に逃げたので気分は楽です。
画質面で他社よりも劣っても、安全という御旗があります。
一方で他社は画質と価格の競争に入る事でしょう。
画質を向上させるために、さらに重いカメラと機体の採用。
ここに歯止めをかける為にも、フライト重量の公開はマルチコプター空撮に携わる全ての会社に実施して頂きたい項目です。

公開日:2013/04/03
最終更新日:2013/04/03
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