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ドローン空撮[技術解説] - マルチコプターの事故と注文者責任

降雪時のラジコン空撮
墜落事故の損害賠償責任

墜落事故の損害賠償責任

マルチコプターは、比較的安価な投資と低レベルのフライト技術で空撮業務に参入すること可能にしました。
これが意味するところは安易な空撮業務参入者の多発。
(今はこの段階)
今後は、事故の多発と訴訟問題と続きます。

遠くない未来に新規にマルチコプター空撮に参入した会社が起こす事故は必ず起こります。
その後の判例と共にマルチコプター空撮業界の常識が形となっていくことになります。

このページでは、注文者目線でマルチコプターの墜落事故について考えていきます。

注文者である貴方が最初の関係者とならない為に、このページは存在します。

はじめに:マルチコプター空撮は、「危険」

マルチコプターを含め、空撮には墜落事故の可能性が付きまといます。
ここではマルチコプター空撮の墜落事故を想定し、発注側の責任に関して考えてみます。

選ぶ空撮会社次第では注文者にも一定の責任が課せられる。

最初の判例が出るまで、この様に考えた方が無難です。
「マルチコプターは安全」などと言い切る業者はいないと思いますが・・・
どのような機材を用いても空撮が危険であることは誰でも予測出来ます。
この危険な空撮を請負任せとした場合は、注文者の監督責任も問われることとなります。

空撮は、誰の目からも危険。
発注する際に、安全な会社を選ぶ事は当然。
可能な限り客観的な、「安全」を示せる業者がもっとも良い選択肢。
さもないと事故の際には、注文者責任(発注者責任)が問われることになる。

注文者責任はやっかいな物で・・・
専門的な事に関しては責任を問われないが、「考えればわかること」に関しては責任を問われます。
事故後の裁判で裁判官から、「この下請けでは危険でしょう」と問い詰められない準備と知識を持つ必要があります。

自律安定装置

場合によっては10km先に墜落する

マルチコプターで空撮を行っている多くの空撮会社は、自律航行のシステムを搭載しています。
技術が未熟なパイロットでも、一定の結果が出せる魔法の箱なのですが・・・
これが最悪の形で故障をすると、動力バッテリーの続く限り飛び続ける事故となります。

←これは2013年現在の国内のマルチコプター空撮業界のシュアNo1の自律安定装置。
弊社では徹底的なテストを実施し一時的には問題解決となったのですが・・・
撮影中に一時的な暴走(意図しない方向に飛んでいく)。その後にプロペラが停止し墜落を実務で経験しています。
その後に、必要と思われる改修を施し業務を選びながら慎重に原因を追及。
最終的に、原因を独自に突き止めました。
※DJI代理店等の方、問題があるならこちらから

脅しているようなのですがこれが事実です。
弊社では、暴走に至る事前の現象を具体的に把握しています。
これにより、暴走の可能性がある状況でのフライトを控えるノウハウが蓄積されました。
0 [Zero]以外ではこの現象と対策を自社サイトで公開している空撮会社は存在しません。
(2013年1月28日現在:0 [Zero]調べ)

マルチコプター空撮では、ここまでのリスクは、「容易に」想定出来る

業務で用いられるマルチコプターは、動力バッテリー限界までを墜落範囲と想定する必要がある。

バッテリー限界まで暴走する危険性があると、0 [Zero]では開発当初から予測していました。
故に、暴走事故を完全に無くすことを目的とした特許出願を既に済ませています。
自律安定装置を完全に信用していないからこそ、特許出願から機体開発という流れで事業を組み立てています。

私の様な、専門家が自律安定装置起因の暴走事故を想定するのは当然の事と考えていますが他社は違うようです。
「フライト周囲に人がいなければ安全」と考えている方が多くいるというのが現状です。

ここで一つの事故発生をシミュレーションします。
・郊外の工場建設予定地にて空撮を依頼
・現場には、関係者以外の人影無し
・現場から半径500mに民家無し
・離陸直後にマルチコプターが一定方向に暴走し視界から消える
・1km離れた新幹線に衝突し大問題となる
・注文者である、「あなた」は法定に出廷

裁判のポイントとなるのは注文者である、「あなた」の責任範囲。
現場での監督責任は問題無し。
もっとも大きな論点は発注時に注文者がリスクを想定出来たか?
専門家でないのですから、「技術的な事は不当」と期待したいところですが・・・
裁判官:「空から1kgが降ってきたらケガするでしょ?」と言われれば同意するしかありません。
最終的には最初の判例が出ないとわからない事なのです。
それまでは、客観的に安全ととれる業者を選ぶ事が保身につながるといって間違いありません。

ここを読んだ同業者の方は・・・
「そんなことはあり得ない」と言うかも知れません。
「あり得ない」と思考の範囲外に置くからこそ、あなたにこの事故が舞い降りる可能性が高まります。
また、このページを読んでしまったと言うことはあなたも暴走リスクを認知したことになります。
これを放置して事故になったなら・・・それ相応の責任を問われることになります。
なお、保険に加入していても重大な過失があったなら、過失相殺は当然の事。
仮に、保険会社から0 [Zero]に相談があったなら・・・
「多くの新規マルチコプター空撮会社の技術レベルは低い」とコメントします。

ここまで読み進んで頂ければ、このシミュレーションが十分あり得ることと理解して頂いたと思います。
以下では客観的な観点に基づいた安全な業者の算定基準に関して考えます。

注文者責任から考える空撮業者を選ぶ際の目安

・保険加入
・業務実績

裁判の際に説得力があるのが「空撮会社側の保険加入と加入期間」です。
「空撮を実施する会社が保険に入っている」がポイントです。
経験が浅く、技術の低い空撮会社ではマルチコプター空撮保険に加入出来ません。
保険会社によって異なるところですが従来型RCヘリコプターやバルーンとは別物のリスクと見なしています。
0 [Zero]でも、バルーンとマルチコプターでは別の保険会社に加入しています。
保険未加入での業務実績有り。
このタイプの会社(個人含む)は非常に危険なタイプです。
発注時には保険に加入している。
事故後に保険加入の履歴を調べると、無保険で請負空撮を実施していた事実が発覚。
当然の事ですが・・・ここは攻められるポイントになります。

従来型のヘリコプターで業務を行っている方はしっかりとした保険に加入していることが一般的です。
保険会社もプロですので、リスクの高い業者は加入を断ります。
つまり、マルチコプターで空撮を開始して数年などという初心者はこの一点で排除されることになります。

空撮会社が標準で保険を用意しているなら、もっとも客観的な安全性の担保と言えるでしょう。
これは裁判の際にも、必ず有利に働きます。
保険未加入での業務実績が無いか?
ここも重要なチェックポイントとなります。
その様なタイプの会社は安全ポリシーが極めて低い事を意味します。
確実に、あなたに不利な隠匿が出てきます。

いい加減なマルチコプター空撮会社から身を守る為の方法をひとつご紹介します
「過去に保険未加入で業務を実施した事がありませんか?」と採用を検討している会社に聞いてみて下さい。
そして、その答えはメールでも構いませんので文章で頂いて下さい。
※フリーメールアドレスは×。公式ドメインがベスト。
パターンA: 「ありませんと返答」 事故後の裁判でもその事が証明=あなたに過失無し
パターンB: 「ありませんと返答」 事故後の裁判で、嘘と判明=あなたに過失無し
パターンC: 「ありますと返答」 =別の会社にすれば問題無し
業者が嘘をついているなら、あなたに過失無し。
裁判となっても、過失が問われる可能性は低いと思われます。
正直に、無保険での実務経験ありと述べたなら・・・
判断はお任せします。
慎重を期すなら、保険証書の控えを送ってもらうのも良いでしょう。
そこには用いる「設備」も記されています。
保険は自動車の保険のように、「一台毎の加入」か「イベント単位」であることが当然。
証書の重要部分の説明も文章で取る方が良いでしょう。

空撮会社側で保険に入っていることが業者選択の大きなポイントであることがわかっていただけると思います。
訴訟問題に巻き込まれない為にも、マルチコプター空撮保険に加入している業者を選んで下さい。

また、業務実績も選定には参考になるかと思います。
継続して、重要度の高い業務を無事故でこなしている。
これは大きな加点要素と誰でも感じると思います。(裁判時には当然ですが有利な材料)
単発ではなく、継続が大きなポイントです。

【加筆:保険加入に関して】
このページを公開した時点(2012年3月)から保険に関しては大きな変化がありました。
2014年10月の段階では、誰でも業務用の空撮保険に容易く入る事が可能になっています。
業者選定の際には、「何年から空撮を業務として行っていますか?」
その回答を得てから、「何年から保険に加入していますか?」
この様な問いをすると、候補としている業者のモラルを測る事が出来るでしょう。
加筆日:2014/10/08

コラム:マルチコプター空撮の新規参入者のモラルは低い
風速計

マルチコプター空撮の事故は、フライト責任者の技量により発生頻度と規模が決まってきます。
このフライト責任者の技量は、その会社のサンプル動画から多くが推測出来ます。

フライト時の観測データに虚偽がある

この様な方はフライト技術が低い傾向がハッキリとYouTube動画などから見て取れます。
1.5m/s以下(のぼり旗がなびかない)の風にもかかわらず、「2~4m/sの風でした」などと記載しています。
キチンとしたデータ取りの為にも、テストフライト時の観測器機の完備は当然。
イベント系の撮影なら、直近の気象庁観測データなども添えて気象条件を客観的に証明するのが一流のプロです。
0 [Zero]ではバルーン空撮[技術解説] - バルーン空撮と風についてなどでも客観的な観測データ提示を心がけていました。
なお、上記ページの製作は2008年となっています。

・0.3~1.5m/s 煙はなびくが風見は動かない
・1.6~3.3m/s 木の葉が動く。のぼり旗がなびく
・3.4~5.4m/s 木の葉がたえず動く。旗が開く

例えば・・・
「風速4m/sの風の中で撮影しました」と記載されている動画なら、葉は常に動いてるのが当然です。
しかし・・・多くのYouTubeサンプルでは、その様な事はありません。
2012年3月現在で、YouTubeにアップされている国内のマルチコプター空撮画像を拝見すると・・・
ほとんどのサンブルが虚偽データとなっています。
この様な虚偽データを掲げる業者は、これ以外の事に関しても同様の傾向が見て取れます。

このページは、「注文者責任」が題材。
この様な業者に発注してしまい、もしも事故が起きた場合は・・・
その後の賠償責任で、非常に揉めることになると思います。
仮に、空撮会社が保険に加入していたとすると・・・
保険加入時の申請に虚偽があったと証明してくるでしょう。
そこで、支払いを拒む可能性も十分想定出来ます。
また、発注元の撮影保険を用いるとして同様の傾向が予想されます。(保険会社なども、このページなどを参考にすると思います。)
保険会社は支払わず、空撮会社も支払い能力がない。
つまり、いい加減な会社に発注すると、一部負担でも発注者に支払い義務が発生する事は想定出来ます。

数年前のバルーン空撮での事ですが・・・
ある施設の近くに、重要な変電所がありました。
電力会社の担当者の話ではそこを止めてしまうと億単位の損失になると・・・
※電力供給ストップによる周囲の工場などの被害も含め
その撮影案件では事前の契約書に現場での風に関する記述を設定。
そして、電力会社の立ち会い。
ここまで準備して業務を実施しています。
0 [Zero]はマルチコプター空撮でも同等以上のポリシーにて空撮業務を実施してます。

公開日:2012/03/01
最終更新日:2014/10/08
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