Ver6_img

ドローン空撮[技術解説] - 1.0kgクラス4モーター開発経過

屋内専用実務機
事務所内を飛んでいるマルチコプター

屋内業務専用機の初飛行完了。
60iカメラ(サイバーショットWX200)搭載にて、フライト重量1kg以下を目標に制作中。

各所から部材を取り寄せて、10日程度で初飛行になりました。
この機体のポイントは発泡スチロールのガード超軽量機体です。

発泡スチロールのガードはAR.Drone(トイザらスで販売しているオモチャ)からの流用。
上・横・下など、実務で想定されるあらゆる方向からの接触を効率的に防ぎます。
特に、天井との接触が想定される用途であることから、上からの軽度な接触に強く設計しました。
天井との軽度な接触なら、墜落する事はありません。
建物にキズを付ける可能性も低く出来ます。

このテスト時のフライト総重量1.1kg(1,120g)
机上では15分フライト可能な量のバッテリーを搭載した仕様です。
バッテリーの搭載量を少なくし、1kg以下は確定しました。

屋内用ハル

問題点

←このAR.Droneのプロペラガードで、高い安全性が担保されるのですが・・・
画質と操縦性能の両面で、プロペラガード起因の問題が発生しています。
プロペラガードがホバリング時に、細かく揺れて画質が劣化しています。
急上昇・全速前進などを行うと、このガードが共振。
固定方法と、部分的な補強などにより共振対策を検討していきます。

場合によってはガードを固定する為に専用のフレームを再度設計などということも想定されています。

屋内機の運用方法に関して

運用方法に関して

今までは安全性の簡単から撮影困難としていたシーンも撮影できる可能性が広がります。
ただし・・・実務運用方法が特殊な物となります。
今のところのプロトタイプでまとめると以下になります。
※今後の開発進度により改善の可能性有り

1): パイロットは機体付近で操作(10m以内がベスト)
2): 重たい機体(2.0kgクラス)よりも画面は安定しない
3): 直進30m程度が安全運用の範囲
4): 垂直15m程度が安全運用の範囲
5): 複雑な動きが苦手

1): パイロットは機体付近で操作(人物接近は10m以内がベスト)

屋内であることから、GPS自立飛行が使えません。
パイロットは目視で常に機体をコントロールする必要があります。
※ホバリング時も、指は常に動いています。
障害物などが多い屋内では一瞬でも気が抜けません。
人物への寄りや、障害物ギリギリの飛行にはパイロットが可能な限り対象の近くに位置取りをする必要性があります。
視界から機体が遠くなると、墜落のリスクが極めて高くなります。

「人物の周囲を半径3m程度の円で180°旋回」
この様なワークを想定した機体なのですがこの単純なワークの完成度は今のところ高い物ではありません。
※2~3テイクで、使える物は撮れるというレベルです。

2): 重たい機体(2.0kgクラス)よりも画面は安定しない

今のところは実務投入可能なレベルに達していません。
これに関しては数日以内に達成出来ると予測しています。

直進30m程度が安全運用の範囲

直進性は十分あるのですが高さ方向の精度が甘いと感じています。
長い直進中に、速度・左右のズレ・高さのズレを調整することとなります。
そして、機体が小さいことから姿勢の変化も読み取りにくい。
屋外で2.0kgクラス6モーターでは水面ギリギリで100mなどにも対応しますが・・・
室内では直進30mを、当面の限界距離と考えます。

垂直15m程度が安全運用の範囲

屋内での垂直テストを実施していないことから、暫定的に15mと設定します。

商業ビルの3階相当=15m
マンションの5階相当=15m

5): 複雑な動きが苦手

GPS自立が可能な環境ではパイロットは撮ることに集中しています。
これが屋内専用機ではパイロットは機体を安定させることに集中します。

屋内で、面白い画を撮るには・・・
屋外以上にパイロットの腕と集中力を要求される事を意味します。
ここに関しては時間が解決(パイロットの習熟)するのを待つしかありません。

コラム:「自社開発」「オリジナル」はどの程度から?
空撮カメラ:WX200

今回の機体は0 [Zero]が設計し、製造しています。
カメラ・コントローラー・樹脂パーツ・ネジなどは当然ですが市販品です。
大学の研究室レベルではフライトボードなども自作となるので、それらと比較すると自社開発率は落ちると言えます。
それではどの程度を内製すると、「自社開発」や「オリジナル」に該当するのかと問われれば・・・
「それが市販されているか否か」が判断のポイントになると思います。

同じ物が購入出来る=非オリジナル
同じ物が購入出来ない=オリジナル

「同じ物」の判断基準は人によってブレる・・・
結局は発言者のモラルに委ねるしか無いのです。
なお、大学研究室レベルでも、ベアリングまで開発することは無いことでしょう。
重箱のスミをつつくとキリがありません。

バランス取り 今回の機体開発ではカメラジンバルから制作を始めています。
カメラジンバルの重量と、位置が決まらないとバッテリーの搭載位置と重心位置が決まりません。
ここまで形にすると良く理解出来るのですがサイバーショットWX200は偉大なカメラです。
このカメラの存在がなければ、2013年のこのタイミングで、この機体の実体化は不可能でした。

この機体も含めて、0 [Zero]の制作する機体はバッテリーやジンバルを通常の位置とは大きく異なる位置に積極的に搭載します。
それ故に、バッテリー容量なとが変化するとフレーム設計の根本からやり直しということも日常です。
このページを書き終えてから、ジンバルとバッテリー搭載部分は総バラシとなります。

このページのカメラジンバルのネジ類に注目してください。
大量にチタンネジ(比重:4.51)を用いています。
ここは最終の調整段階で、マグネシウム(比重:1.7)やRENY(比重:1.65)に置き換えられます。
(同時に接着)
つまり、ウエイトのかわりにチタンネジが用いられています。
※今の段階では、「前重」狙い

このコラムでは、「自社開発」と、「オリジナル」に関して書いています。
これは発言者の基準により「オリジナル」の基準は異なるとしていますが・・・
客観的に「オリジナルである」と認められる唯一の方法があります。
それが特許。
特許なら、お墨付きの、「オリジナル」の証明です。
0 [Zero]は特許出願からマルチコプター空撮に参入しています。
私の知る限りは国内でこの流れを通った同業者は知りません。
本格的にマルチコプター材の開発に着手して1年以上が経過しました。
幾つか特許性がある発明は行っていますが価値が無い物に関しては放置していました。
この頃の業務では0 [Zero]の機体が露出する機会も増えてきました。
特許性のある機体は公開されてしまうと特許性を失います。
つまり、特許性のあるオリジナルの機体で実務を行う事が出来ない・・・(それか、特許に拘らないようにする)
空撮業界は今後も激しい競争が続きます。
0 [Zero]のポジションを守るには更なる独自化は必須。
ある程度の実体化の後に、実務投入のレベルに達した物から特許出願に入りたいと考えています。

国内の主要な空撮会社で、唯一の特許出願会社。※1
それが0 [Zero]です。

※1:
メジャー検索エンジンにて「空撮」「ラジコン空撮」「マルチコブター空撮」などで検索。
上位30位に入るサイトにて、特許出願の記述が無いことを確認。
2013年2月:0 [Zero]調べ

公開日:2013/02/12
最終更新日:2013/04/11
前へ一覧次へ

ドローン空撮[技術解説] 関連リンク

142) 【特願D】宅配ドローンヘリポート
141) 宅配ドローン着陸姿勢と特願A
140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
139) ドローンのデザインとは?
138) バッテリー初期不良の原因特定
137) DJI純正バッテリーの自己放電確認テスト
136) 5機目のDJI PHANTOM2
135) DJIは信用出来るのか?
134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
132) 宅配ドローン実証機制作 その2
131) 宅配ドローン実証機制作 その1
130) 航空法改正
129) 【特願A】実フライトテストNo1
128) 「ドローンから落下させる」機構制作とテスト
127) ドローンの飛行時間について
126) ゲインとは?
125) 首相官邸屋上のドローン落下事故に関して
124) リポバッテリーの検査方法
123) GoProのNDフィルタに関して
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測
121) 特許出願機の実体化
120) 墜落原因の報告義務について
119) 危険な業者の判断方法
118) 注文者責任のとらえ方の変化に関して
117) マルチコプターが旅客機を墜落させる
116) マルチコプター全面禁止というシナリオ
115) マルチコプター墜落原因の解析について
114) GPSハッキング
113) 管理責任者の表示
112) フライト総重量の明示
111) 湘南国際マラソン墜落事故を考える
110) 雨とリチウムポリマーバッテリー
109) DJI lightbridge テスト開始
108) DJI Phantomd純正プロペラの評価
107) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価 その2
106) SUNNYSKY Xシリーズの評価 その2
105) 大型機とFPVの解禁
104) 「螺旋下ろし」で安全な機体回収
103) 固定ピッチのメリットとデメリット おすすめ
102) 3Dプリンタ打ち出し部品を信じるな!
101) 3Dプリンタとマルチコプター
100) 技術解説100ページの区切
99) マルチコプターとPL法
98) スチール撮影用マルチコプター入門
97) リポバッテリー内部検査の理由
96) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価
95) SUNNYSKY Xシリーズの評価
94) フルスクラッチマルチコプターのススメ
93) SONY SEL1018は、マルチコプター空撮に使えるか?
92) Amazon Prime Air
91) α7とα7R
90) 動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック
89) 航空法第二条
88) リポバッテリー充電ステーション設計中
87) マルチコプタージャマーについて
86) 空撮屋必修の書籍 :「一般気象学」 おすすめ
85) 電波障害の再検証
84) 空撮会社のノートパソコン
83) マルチコプター空撮機材車
82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
81) プロペラバランスを極める
80) 機材車増車
79) 受注制限に関して
78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要