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ドローン空撮[技術解説] - AR.Drone 【屋内ハル】の流用

【屋内ハル】の流用
4機分のフレーム

1.0kgクラス屋内業務専用機のフレーム設計・製造が完了。
結局はいつも通りのフルスクラッチとなりました。

←実務投入1号・2号のフレームは完成しています。
試作1号(オリジナル)試作2号(市販品ベース)は既に部品取りに降格(写真左側のフレーム)。
全速移動時のハル(接触防止カバー)の共振を根本から対策するためのフレームを再設計しています。

このページを書いている段階では、実務投入機のテスト飛行が完了しています。
安全性に関しては予定通りの性能が確認出来ました。
明日の朝を待ち、屋外でのテストに入ります。

安全性の高いAR.Droneハルの流用のポイントを、このページでは公開します。

ハルの固定方法

ハルの固定方法

Oリングにて固定という定番の方法に落ち着きました。
ハルの加工はOリングをかけるカーボン棒の取り付け。
このカーボンは貫通3.5mm。
この位置なら、丁度内部の空洞部分に貫通されることから最も合理的な位置と思われます。
外皮が十分な強度があることから、特に補強も必要ありません。

この機体はバッテリー交換の際に頻繁にハルを外します。
繰り返しの取り外しでも十分な信頼性が与えられています。

ハルの改造はもう一点。
純正の磁石による止め部品は外しています。
キチンと計測はしていませんが3g程度は軽く出来ると思います。
また、外した後の空洞はそのままでも強度は出ています。

前は差し込み式

前方の取り付けは差し込み式

AR.Droneを実際に所有している方はイメージ出来るかと思います。
ハルの取り付けの前側はオリジナルと全く同じ方法を取りました。
ここは20mmのアルミ角棒などが丁度良いサイズです。

前は差し込み式

ハルを外して前方から撮影。
カーボンアングルがハルを面で支えています。
後方に取り付けられる二つのOリングはハルを固定しつつ後方に引っ張るようなイメージで取り付けられています。

この機体ではマグネシウム(M1)とカーボンアングル(0.6mm厚の特注)で軽量につくられていますがアルミとの差は同一形状で5g以下です。
つまり、現実的な選択肢はアルミです。

屋内ハルの後ろ取り付け部

後方の取り付け部分

AR.Droneのオリジナルではこの部分にマグネットでハルと本体が固定されています。
それ故に、1.0kgクラスのパワーではハルが共振してしまいます。
ここはOリングで引っ張る事になるので強度は必要です。

なお、この下にバッテリーが搭載されます。
最初の実務投入段階では3S2200mAh(1本)から開始します。
リポ発火テスト結果 リチウムポリマーバッテリーの短絡テストにて、弾ける事を阻害する搭載方法は危険である事が判明しています。
この機体は屋内業務専用機ですので、墜落時に煙を吐くことも避けたいところ。
搭載されるバッテリーは、「ヒューズ」が働くタイプになります。
念のために、弾ける事が出来るスペースも設計で確保しています。

フレーム断面

フレーム断面

前方の取り付け部分(写真左側)はフレームの一番固い部分。
後方の取り付けは直下にピラーを配して強度を確保しています。

ハルを流用するにはこの配置がもっとも合理的という結論に至りました。

なお、フレーム材は1mmカーボン。
普通の製作方法では剛性が出せません。
ラピド工房のパイプマウントを瞬間接着剤で固定して剛性を出しています。
接着剤を用いずに剛性を出すにはこのクラスでも1.5~2mmの厚さが必要です。

ハルとプロペラの隙間

ハルとプロペラの隙間

プロペラ(モーター取り付け位置)は意識的に内側にオフセットさせています。
ここはハルの取り付け部分(十分な強度)なので、壁などに接触した時にハルとプロペラは接触することがありません。
ハルとプロペラの隙間

ハルの外側は発砲スチロールしか無いので、接触と同時にたわみます。
この、「たわみ」が発生したときに、外側のプロペラとハルを接触させない為のオフセットです。
このプロペラは8インチですが真ん中に取り付けてしまうと簡単な壁との接触でもハルとプロペラが接触してします。
結果として、その場で墜落という流れに陥ります。

軽度な接触でも、プロペラとハルを接触させて、減衰させるという方向もあるかと思いますがひとまずは、「落とさない方向」で機体は設計します。

まとめ

まだテストは不十分ですが1.0kgクラスでAr.Droneのハルは十分流用出来る事は判明しました。
3s2200mAh1本と、サイバーショットDSC-WX200を搭載して、1kgを僅かに割り込みます。
プロが用いる空撮機材てしては十分実用になると思われます。
3週間以上を費やして、3回の大きな試作を経て、ここに行き着きました。
ノウハウと言えるところですが安全性が高い機体が普及することはプラスに働くと思い流用のポイントを公開させて頂きました。
もしも、流用を試すなら、この機体設計をベースとすれば時間が節約できます。
これが最終型とは考えていませんが基本的なところは大きく変わる事は無いでしょう。

なお、このクラスでもカーボンペラの採用は推奨しません。
壁などに激しく当たって墜落などというパターンではペラがハルを破損させて肝心なときに役目をしません。
何の為のAR.Droneハルの流用なのかを考えれば、カーボンペラの採用はあり得ません。
樹脂ペラでは稼働時間は短くなり、操作性も落ちます。
さらに、カメラに振動も入りやすくなる。
ですが・・・
安全性を重視してのプロ機材ですので、ここは技術で樹脂ペラを使いこなしてください。

明日から、防振部分の最終調整。
最短で、明後日のロケハン(屋内撮影)から機体を実務に投入します。

【加筆:プロペラに関して】
流用のポイントとなる重要な部分が漏れていたので加筆します。
最終的に採用になったのは樹脂8インチペラ。
モーターは0 [Zero]では定番のFC2830。
8インチペラでは回しきってしまうことから、急上昇の際に共振します。
ページ内では、「遅い」と表現している全速前進も、実務では十分な速度となっています。
また、AR.Droneハルの流用には通常のX型のフレームよりもラダー型の方が優れていると思われます。
エンルート Zion EX 450をベースとし、詰める方向での改造が近道でしょう。
ただし、Zion EX 450ベースの場合は0 [Zero]の機体よりも重くなります。
余剰浮力が少ない機体特性ですので、樹脂ペラでは厳しくなるかもしれません。
(最終的なテストはZion EX 450では実施していません)
加筆日:2013/04/05

公開日:2013/02/25
最終更新日:2013/04/05
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