昨年、2008年版:空撮プロはどのデジカメを使う?というページを書いています。
今回はその続編に該当するページです。
今(2009年11月)はデシタルカメラの本体は画質と重量のバランスからキヤノン5DMarkⅡ以外の選択肢は無いと言えます。
バルーン空撮と限定すると、これ以外の選択肢はありません。
仮にニコンユーザーだとしても・・・キヤノンが気になるでしょう。
現実的な重量で2000万画素オーバーの機種がキヤノンにしか設定されていない事実は変わっていません。
商業印刷の現場では2000万画素の画質と、その画素数にて破綻しないレンズを求めています。
今回のページの意義はまさにここ(レンズ)にあります。
唯一の例外は・・・
本気でバルーン空撮の夜景を撮影しようと考えている方のみです。
バルーンの余剰浮力が許すなら、D3Sが第一の選択肢になります。
ただし、昼間の撮影では画素数不足を感じることからD3Xも必要となるでしょう。
各々のにスペアも必要と考えると・・・
コストダウンの観点からは不利になってしまいます。
あくまで、本気で夜景に取り組む会社のみが該当する選択肢です。
昨年の夜景撮影機材の選択時にはD700を購入しています。
現実的な重さのレンズの中で、キヤノンに対抗しうる広角レンズが無いという理由からキヤノンに戻ったという経緯があります。
しかし・・・
D700Sにて、圧倒的な暗部特性を手に入れることが出来るなら、夜景VR撮影専用としてニコンのラインナップを揃える可能性は十分残ります。
ただし・・・昨年の様にキヤノンが即時に対抗機を出してくることも想定できるので、即時に購入ということはありません。
←社内に所有している24mmを撮影可能な主要なレンズ。
バルーン空撮では風景や建築物がメインの被写体となります。
周囲の雰囲気を併せて押さえる必要があることから、自ずと広角レンズが主力となります。
特に業界標準が決まっているのでは無いのですが0[Zero]では24mmをバルーン空撮の標準レンズと考えています。
これを軸として、8mmから85mmまでを実務では用います。
バルーン空撮[技術解説]では何度か軽量化について触れています。
車載式で且つ、風に強いバルーンとするために、余計な重量は0.1gでも軽量化していくというのが0[Zero]の姿勢です。
その、0.1gに拘る会社が重量級レンズを用いています。
5DMarkⅡに移行してから特に感じる事なのですが結局のところ写真はレンズで決まります。
2000万画素を使い切るには普通のレンズでは刃が立ちません。
バルーンはさらに高性能なレンズを搭載するために総合的な軽量化を進めています。
2009年に24mmのレンズという限定をつければ、選択肢は1本しかありません。
今年の9月に発売となった、TS-E24mm F3.5L2です。
ミニチュア撮影などはあくまで、「オマケ」
何よりも普通に撮影したときの画質がズパ抜けています。
欠点は重いことと、完全な逆光時の特性。
決して逆光に弱い訳ではありません。
中には逆光の特性だけは五つ星という困ったレンズも存在するので、それと比べると逆光特性が劣るというコメントになります。
総合的には他に大きく差を付けての一位です。
注:バルーン空撮に使用するという前提にて
主となる順光での空撮時には考えられる選択肢の中で最高の画質を得られるレンズです。
なお、TS-E24mmはⅠ型も所有しています。
こちらはミニチュア動画空撮専用としてのみ所有。(Ⅱ型よりも軽量)
キヤノンにはEF24mm F1.4L II USMという優秀なレンズも存在します。
このレンズは開放で使ってこそ価値が出るレンズ。
空撮のような絞り込む撮影では光るところがありません。
(プライベートの写真ではもっとも使いたい24mm)
EF16-35mm F2.8L II USMという定番レンズもあります。
恐らく、キチンとした空撮を行おうとする他社が使っていることが多いレンズです。
これは非常にバランスの取れたレンズです。
ただし・・・空撮に用いる24mmと限定すると、上記のTS-Eレンズの足もとにも及びません。
しかし・・・16~35の範囲を、これ一本でまかなえるのは魅力です。
安価に、そこそこの画質でバルーン空撮を行うなら良い選択肢だと思います。
所有しているボディが2000万画素オーバーに達していないなら、選択肢の第2位と言えるレンズです。
EF24mm F1.4LもEF16-35mm F2.8LⅡは共に優秀なレンズです。
あくまでバルーン空撮に用いる24mmと限定するとベストなレンズではありません。
このどちらかのレンズでバルーン空撮やクレーン空撮を行っているなら、その会社は信頼出来ると考えて良いと思います。
しかし、満点はTS-E24mm F3.5LⅡとなります。
TS-E24mm F3.5LⅡ サンプル画像(5616×3744)
注意:あくまで、空撮標準レンズの24mm限定の考察です。
←レンズテスト中。
市販されている様々なレンズは結局は実写テストしないと答えは出てきません。
湾曲収差が少ないレンズでも周辺画質が悪ければ、空撮業務では活躍の機会が減ります。
どんなに画質が良くても重すぎては安心して使えません。
常に重量を意識しての選択となるのですが許される範囲の中でもっとも高画質になるレンズを装着するのが空撮プロの仕事です。
0[Zero]では現場での最大風速や最終的な出力方法を意識しつつ、機材の購入と現場での使用レンズを選定しています。
最低でも3本は24mmを撮影出来るレンズをカメラバックに入れるのが現在の標準スタイルです。
41) 専用車両の集中メンテナンス
40) α7RⅡ狂想曲:その9 Vix
39) α7RⅡ狂想曲:その8 ThinkPad P50考察
38) α7RⅡ狂想曲:その7 ThinkPad P50到着
37) α7RⅡ狂想曲:その6 バルーンを独自開発する空撮会社
36) α7RⅡ狂想曲:その5 レタッチャー用ワークステーションのテスト開始
35) α7RⅡ狂想曲:その4 今までは空冷でした・・・
34) α7RⅡ狂想曲:その3 超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?
33) α7RⅡ狂想曲:その2 現場で必要なパソコンとは?
32) α7RⅡ狂想曲:その1「α7RⅡ」後という世界・・・
31) α7Rの業務投入開始
30) 撮影時の服装に関して
29) α7R赤外リモートレリーズ
28) α7Rリモートレリーズ制作
27) α7R ILCE-7R到着
26) 機動性という品質
25) 強風下の撮影を可能にする「ヒューズ」
24) ミラーレス一眼はバルーン空撮のスタンダード
23) 眺望撮影の、「良い例」と、「悪い例」
22) 2009年版:空撮プロが使うレンズ
21) 0[Zero]のバルーンが風に強い理由。その1「尾翼が大きい」
20) 最大風速13m/sの乱流下のテスト画像公開
19) 開発失敗バルーンの例
18) バルーン小型化の研究
17) バルーン独自開発の道程
16) バルーン素材としての塩ビとエバール
15) 新型の開発は一時停止
14) バルーン繋留角度解説
13) 寒冷地専用バルーンテスト
12) 空撮スペシャリストの技
11) 空撮と送電線
10) 空撮の保険について考える
9) 2008年版:空撮プロはどのデジカメを使う?
8) ヘリウムガス不足と値上状況
7) 標高2100m:高地撮影テスト
6) 機材開発例:レンズマウント
5) バルーン空撮と風について
4) バルーン空撮テスト
3) 空撮システム開発解説
2) バルーン空撮専用車両
1) バルーン空撮とヘリウムガス