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ドローン空撮[技術解説] - マルチコプターの防振対策

マルチコプター磁気ダンパー

マルチコプター空撮テスト:No008
機体:1号機(磁気ダンパー V0.25c搭載)
実用フライト時間:6分(10℃想定)
カメラ:SONY cyber-shot DSC-HX9V
画角:26mm相当(広角端)
ブレ補正:カメラ内蔵手ぶれ補正機能(機体側非搭載)
撮影高度:0~30m
風速:0~1m/s
重量:1,989g(バッテリー・カメラ込み)

マルチコプター空撮で、最大の、「壁」と呼べるのが微振動。
「モヤモヤ~」とした不快な振動が映像に入ります。

2012年2月現在では、従来型ヘリコプターを用いている空撮会社が一斉に追従(機体開発中)しています。
「開発中」という言葉は、良く目にしますが実際の業務を開始しているのは少なめ。
多くの会社が微振動対策に手詰まりになっていると推測します。

0 [Zero]も、他社と同様に微震対策に困っていたかと言うと・・・
少し様子が違っていました。
5Dmk2搭載予定の機体に、スプリング+ダンパーという従来の防振対策を実施。
この機体はスタビライザー搭載。このため最低限の業務は、出来る環境になっていました。
しかし、この方法はマルチコプターの安全確保とは、逆の方向。
重量のある機体で安定した画像が撮れるのは当然の事。
軽量なマルチコプターで、安定した画像を撮るのが0 [Zero]の一つの目標です。

ここでは防振対策のひとつとして、0 [Zero]が採用している磁気ダンパーを紹介します。

磁気ダンパーの仕組み

磁気ダンパーの仕組み

振動とカメラを切り離す

これが全ての基本です。
①と②が磁石(ネット通販にて購入可能)
③が位置固定のためのシリコンチューブ(ホームセンターにて購入)

構造は極めてシンプル。
これで振動の80%以上のカットが可能。
機体各所の調整が完璧に出来ているなら、このYouTubeサンプルと、「ほぼ」同等の撮影が可能です。
YouTube限定なら、これで十分。

磁気ダンパー プレートタイプ

サンプルを撮影した磁気ダンパー

このページのYouTubeサンプルは、これが入っています。
磁気ダンパーとしては、開発初期物。
材料は、その辺に落ちていたアクリル板。

ここでのポイントは、無数に規則正しく空けられている細かい穴。
ここに小さな磁石を貼って、浮力バランスを取るのがポイントとなります。
上のオレンジ色のアクリル板を使っている磁気ダンパーは、このプレート式の磁気ダンパーの良好な結果を受けての試作品です。

コラム:非線形の特性でしか解決出来ない
ヘクサコプター

←テスト用の、スプリング・ダンパー・Oリンク。
一般的な防振システムの材料は、豊富に用意しています。

0 [Zero]では、当初から磁石ベースのダンパーを本命と考えていました。
ゴムやスプリングなどにダンパーを用いた防振システムでは、目指す画像が撮れない事が容易に予測できていました。

ゴムもスプリングも、その特性上「動き」ます。
この、「動き」は、風が強い日のホバリングや、速い上空飛行で画質を落とす要素となります。
これを減らす為にダンパーを用いるのですが、「動きを減らすと、微振動が多くカメラに入る事となります」
結果として、ホバリングと軽い上空フライト。風の強い日は、撮影が出来ないというマルチコプターが完成します。

そして、従来式のダンパーは、機体やカメラがある程度大きく無いと十分な効果を発揮しないというのも大きな問題。
マルチコプターは、安全性が高いのが大きなポイント。
これを、無意味な重量で打ち消すのは矛盾しています。
DSLR搭載機なら、撮影現場も整備されている事から、画質を優先させた重量増も認められます。
しかし、APS-Cまでのカメラを搭載するという業務なら、安全な方向に機体設計を振るのがプロとしては当然り事と考えます。

ここからが本題。
マグネットダンパーが優れているのは、磁石に近づくほどに浮力が増すという特性です。
つまり、非線形の特性を示します。
防振目的なら0.1mmでも浮いていれば目的は達成されます。
0.1mmしか「動かない」なら、激しい機体の動きでも、画質に与える影響は無視できる範囲です。
そして、浮上の量がシステム重量と磁力のバランスからコントロールが可能です。

0 [Zero]でも、どの形状の磁気ダンパーが理想型なのかに行き着いていません。
磁気がフライトシステムや撮影器機に及ぼす影響も検証不十分。
非線形の特性が有効であることはわかりましたので、大きな欠点が出てこない限りは路線変更が無い予定です。

この2ヶ月半で、もっとも重要な防振の基本設計は固まりました。
当初予定よりも遅れていますが実務対応部分の開発・製造を一気にすすめます。

磁気ダンパーは非採用
防振に関しては、モーター振動を低減するという方向で最終結論に至っています。
加筆日:2014年12月17日

公開日:2012/02/14
最終更新日:2014/12/17
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