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ドローン空撮[技術解説] - ドローンの飛行時間について

ドローンの飛行時間について

今回は、一般の方から頂いた以下の質問への回答を技術解説という形で公開します。

株式会社 0 様
 お世話になります。
メールにてご無礼致します。
マルチコプターの飛行航続時間につきまして、どこに伺ってもインターネット検索しても 詳しく解り易いものがありません。偶然に検索で貴社を知る事ができ嬉しく思っております。 バッテリー容量を100%使用する事は危険ですし、普通はどれ位の余裕度を見るのかさえ不明です。 ホバリング中の電力を読み取り、消費電力から逆算して飛行時間を予測する程度で良いのでしょうか? プロの方のご意見を伺いたく、ご教示頂けませんでしょうか、宜しくお願い申し上げます。
【2015年5月23日:弊社代表メールアドレスに頂いたお問い合わせから】

◆一般的な回答
「電力」と記されていますが、ここを、「電圧」と読み直させて頂きます。
「フライト中の電圧を監視し、電力残量を推測する」
これで、残りのフライト時間を推測するで良いと思います。
この件に関しては、趣味のラジコンもプロも一切違いません。

ご参考として、以下も記します。
昔から存在する、ラジコン趣味の世界での一般論にて回答します。
定格10分のバッテリーがあったとします。
これを、5分ホバリングを行い、その後の充電容量から使用率を推測するという方法です。
仮に50%の消費率であったとします。
次は、上空フライトを中心に5分フライトを行い同様に記録を取ります。
マルチコプターの場合は、上空フライトの方が消費電力が大きくなります。
この差は、機体毎に違って来ます。用いている機体の傾向として、ご自身で把握しましょう。
そこから、80%程度の使用量となる時間を逆算し、その時間をタイマーにセットします。
実際のフライトでは、このタイマー時間とリアルタイムの電圧監視を併用します。
これで、ラジコン飛行場で飛ばす事を前提としたマルチコプターのバッテリー残量を攻めた機体の完成です。
個人的には、40%程度の残量で警告を出すくらいの安全運用をおすすめします。
なお、上記にて算出したフライト時間にも注意が必要です。
・プロペラ・モーターなどの交換によりフライト限界時間は変化する
・ペイロードの増減で変化する
・外気温により変化する
・バッテリーの消耗により変化する

機材に変更などが無くても、時間経過と外気温の変化でフライト限界はかわってきます。
特に低温下では大きく性能が落ちるのはバッテリーの宿命です。
ご自身でバッテリー運用のポリシーが固まるまでは、慎重な運用が良いと思います。
この様な事は、ラジコン雑誌などにも記されている初歩的なところです。
ネットからの情報収集も良いかと思いますが、しっかりとした知識が身につくまでは書籍なども参考にしても良いでしょう。

◆普通のプロはどうなのか?
2015年現在のプロを以下の様に区分けします。
A群:2010年以前からガソリンヘリを用いて空撮業を行っている方(プロ)
B群:2010年以前から空物の電動ラジコンを飛ばしている方(趣味・プロ問わず)
C群:市販のマルチコプターを用いて数年以内に空撮業に参入した方
恐ろしい事なのですが、B群以外のプロのほとんどは、バッテリー管理という観点からは素人です。
マルチコプターは、従来型のラジコンへヘリと比較すると機械部分は単純です。
その代わりに制御と電気に関する豊富な知識を必要とします。
極論しますと、10年以上のガソリンエンジンの知識は無意味とすら言えます。(A群に該当し、キャリアの長さを大きく唱う方にありがち)
もちろん、電波に関する知識と経験は貴重な物で、C群に該当する素人レベルのプロよりは安全運用という観点からは有利です。
もしも身近にマルチコプターのプロがいたとしても・・・B群に該当する方以外の意見は採用しない方が無難です。
ポイントは、B群に該当すれば素人の方の意見でも価値があります。
この様な方は・・・モーターコイルの手巻きとか、昔はCD-ROMのモーターを流用したなどという話が出てきます。
お仕事も技術系である事が多く、この様な方々からは貴重な話を聞くことが出来ます。
私も大変お世話になりました。
なお、ご質問には、「どこに伺ってもインターネット検索しても・・・」という記載があります。
ラジコンショップでも、現役のプロでも電池に関する正しい知識が無ければ答える事が困難な質問なんです。
上記の一般論とした部分は、電動ラジコンを趣味にしている方なら普通の事。
ここにすら達していない、自称プロが溢れているのが2015年という時代です。

第1回国際ドローン展
コラム:2015年現在は、ドローンメーカーと言っても素人

今回のお問い合わせは、5月23日に頂きました。
偶然ですが、2015年5月19日~22日は、幕張にて第1回国際ドローン展が開催されていました。
この展示会は各種メディアにて報道されていたことからも注目度の高さが伺えます。
0 [Zero]も、初日に会場を訪れています。

この会場で、様々な方とお話しをさせて頂きました。
謙虚なエンジニアから、バブルに乗した山師まで・・・
0 [Zero]の目からは、3年は世界の流れから遅れているな・・・と感じた次第です。
数年後に、2015年の第1回国際ドローン展を振り返れば、「あの頃は、幼稚でしたね・・・」という会話が出てくると推測します。
出展者の半分は、数年後のドローン展で入れ替わる事でしょう。
あそこと、そっちは残りそうで、こっちは消えるだろうなと・・・
10年後に、このステージで注目を浴びているのは、ここに出ていない誰かと予言しておきます。

2015年現在は、ドローンメーカーも素人

←第1回国際ドローン展でお見受けした、某メーカーの機体から。
取りあえずフタバの説明書を普通に読みましょうと指摘します。
メーカーという体裁をもっていますが、この程度の電波の知識でメーカーの看板を出せるのが、2015年現在のドローン業界です。
どのように安全などと言う事を訴えても、この一点からダメメーカーの烙印を押して良いところでしょう。

ここでは、一般の方向けに解説します。
全ては、受信機の説明書に書かれていることなので、しっかりと読むことが基本です。
アンテナには、得意な方向と不得意な方向が存在します。
この様な2本の短めの線が出ているタイプのアンテナでは、90度の角度の差を持ち取りつけることが基本です。
また電波は金属(カーボン含む)の影響を受けやすいことから、配置する場所にも注意が必要です。
何が電波を通さないのかという基本的な知識も身につけましょう。
マルチコプターでは、フレーム素材にカーボンを用いる事が多い事から、不得意の方向を生まないという配慮からアンテナ配線の設計をする必要があります。
また、メーカー製機体の購入の際にも、この様な観点から機体を観察すると・・・
そのメーカーの設計者の技量(得意分野)を測る事が出来ます。

2015年現在は、ドローンメーカーも素人

←これが、2015年5月の [Zero]のアンテナ収まりです。
2.0kg6モーター。屋外でドラマ撮影を行う機体です。
横トラックから、前進・後進の引きなど、パイロットと機体の位置関係は様々に変化することから、あらゆる方向から安定して電波を受信することを目的としています。
材料は、ABS材の3Dプリンタ打ち出し品。
重量は、3.0g程度。
得られる効果から考えると価値ある重量増です。
なお、0 [Zero]の機体でも、「ぷらぷら」収まりとする機体もあります。
それは、50mの目視範囲を飛ばす、1.0kgクラス。
この機体は、軽量化の観点から3.0gの重量増加も見過ごすことが出来ません。
GPSアンテナなども未搭載。
もちろん、FPVや機体コンディションを得られるほとんどのテレメトリー機能も非搭載です。
監視するのは電圧のみ。
攻めた機体ですが、安定運用の観点から電圧監視は捨てる事が出来ませんでした。

このページで指摘した、「ぷらぷら」なアンテナ収まりのメーカー製機体は、フライト重量5.0kg以上と推測。
もちろん、FPV搭載で、0 [Zero]の機体よりは遠くの場所を飛ぶはずです。
それにも、かかわらずこの収まりですので・・・
この様なメーカーは退場頂きたいというのが、技術者としての素直な感想です。

最後に

弊社は小さな撮影会社です。
機体や関連器機の販売なども一切行わない純粋な撮影会社です。
誠に申し訳ないのですが、ご自分の所有してるハードウェアに関しては、然るべきメーカーや販社へのお問い合わせをお願いします。
その結果が、納得出来ない場合も・・・
泣き寝入りするしかないというのが、ラジコン業界の伝統です。

公開日:2015/05/23
最終更新日:2015/05/23
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