Ver6_img

ドローン空撮[技術解説] - マルチコプターに関する特許出願の内容

マルチコプター空撮に関する特許出願書類

はじめに

株式会社0では2011年10月に空撮用回転翼機に関する特許出願を行っています。

・名称:空撮用回転翼機
・出願番号:特願2011-221003

出願内容を一言で表現すると「マルチコプターにヒモを取り付けた」
聞いてしまえば「そんなこと・・・」なのですがヒモを付けることにより「絶対の安全」「誰でも空撮」を実現します。
発想の切っ掛けは東日本大震災の義援空撮から。
災害現場で空撮を広く活用して頂く事が最大の目的です。

取り扱い説明書を5分読めば誰でもフライト可能。
風速10m/sの雨や雪でも問題無し。

災害現場では、「その場所から垂直に50mも上がれば十分」
しかし、運用に特殊な技能が必要なら現場で活用出来ない。
災害発生時に、消防団員などの空撮未経験の方でも上空からの情報収集が出来ることをひとつの目標としています。

ヒモを付けて垂直上昇に限定するからこそ、安全且つ誰でも空撮が可能になります。

実体化テスト機

←この試作機の真の目的は特許出願内容の実体化。
カメラを自重により水平に保つという機構はカメラ下部にヒモをつければ出願内容の機体になる事を意味します。

0 [Zero]が開発当初から、降雪強風のテストを必要に実施していたのは絶対の安全と災害現場での実務能力を求めていたからに他なりません。

スタートは災害時に誰でも空撮ができる事ですがこの特許出願はマルチコプターも含めて従来の空撮手段の多くを駆逐する可能性も同時に秘めています。
遺跡調査やマンション眺望撮影など、マルチコプターも含めた従来型ラジコンによる空撮業務はこの特許出願機が販売されれば全て置き換わることも想定出来ます。

◆遺跡調査・マンション眺望撮影の現場の選択
A案:従来型マルチローター・ラジコンヘリ(電動)
・近隣の住宅に墜落する可能性がある(実際にかなりの頻度で発生している)
・墜落範囲は動力継続する限り(数km先に墜落という例もあり)

B案:特許出願済み・ヒモ付きマルチコプター
・絶対に敷地内に墜落する(離陸ポイントから数mという範囲)
・物理的に暴走があり得ない
・扱う者の技術が未熟でも一定の安全が保証出来る

撮影費用(機体購入費)はどちらも大きく変わる事は無いでしょう。
上記二択で、A案を選択する役所やマンションデベロッパーは無くなる事でしょう。
特許出願機を用いてる空撮会社にシフトすれば、事故の発生頻度は下がる事は誰の目からも明らかです。

これまでの経緯

浪江町

0 [Zero]がマルチコプター空撮に参入する切っ掛けとなったのが空撮チームが実施している義援空撮の経験から。
道路が寸断された、この様な状況下で「誰でも空撮が出来る手段は無いだろうか?」と言う考えが全てのスタートです。
空撮会社の様なプロではなく、あくまで一般の方による空撮というところがポイントになります。

・2011年3月11日:東日本大震災発生
・2011年4月:義援空撮開始
・2011年7月:特許出願内容の発案
・2011年10月:特許出願
・2011年12月:マルチコプター開発開始
・2012年2月:マルチコプター実務開始
・2012年3月:実体化の開始
・2012年4月:人物接写公式対応
・2012年6月:概要ページの公開(このページ)

0 [Zero]の空撮は安全第一がコンセプト。
安全を全ての評価項目の最上位と考える事から、この様な発想に至っています。
テレビ番組などの撮影が増えてきたことから、0 [Zero]は動画撮影がメインと感じている方も多いかと思いますが・・・
マルチコプター参入の当初の切っ掛けは震災対応機材の開発にありました。
東日本大震災がなかったら、0 [Zero]はマルチローター空撮に参入しなかったといっても過言ではありません。

安全な空撮の理由

1:なぜ「安全」なのか?

ヒモで固定しているので、その範囲にしか物理的に墜落しない。

50mの高さから空撮をするなら、半径50mの範囲にしか墜落する可能性が無い。
これが最大のポイントとなります。
上空でのトラブル発生時には地面に固定した電動リールにてヒモを巻き取ります。
自由落下以上の速度で巻き取れば、墜落範囲は離陸ポイントの半径数mと限定されます。

誰でも飛ばせる

2:なぜ「誰でも飛ばせる」のか?

操作は上昇と下降ボタンのみ。

機体は地上に据え付けられた三脚から。
操作は、「上昇」と、「下降」のボタンのみ。
姿勢制御から、離陸・着陸操作まで自動化は容易に可能。
ホバリング時の機体の傾きから、上空の風の強さなども自動で取得可能。
一定レベル以上の強風の場合は操作者の判断が無くても自動着陸なども実現出来ます。
一流のプロのスキルを自動化出来るから、「誰でも」安全に飛ばせます。

応用

3:他分野に応用可能

←下に「飛ばせ」ば、橋脚などの保守管理目的に応用も可能。
この例も含めて、従来では想像も出来ない用途に特許出願機は活用出来ます。

これ以外にも・・・
・ヒモから給電し、緊急時の携帯基地局
・離陸・着陸・充電まで自動化し、現代版火の見櫓
・従来のラジコン空撮からのシフト

普通のマルチコプターや、従来型のラジコンヘリコプターにて撮影されている、遺跡調査・マンション眺望撮影・携帯基地局事前調査などの空撮業務はすべて置き換えが可能です。
実際に墜落事故なども少なからず発生している、これらの業務では紐付きのマルチコプター(特許出願済み)に置き換えるのが当然の流れとなる事でしょう。

また、CM・映画などを想定した空撮業務では、「ピント送り」に対応する機体の開発を予定しています。
係留するヒモを3本にすると三次元的な位置を完全に固定することが可能となります。
この固定モードで、ピント・ズームを操作。
その後係留ロープを切り離して上空に「引き」
これが0 [Zero]の考えるDSLR搭載機の理想型です。

公開日:2012/06/11
最終更新日:2013/12/03
前へ一覧次へ

ドローン空撮[技術解説] 関連リンク

142) 【特願D】宅配ドローンヘリポート
141) 宅配ドローン着陸姿勢と特願A
140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
139) ドローンのデザインとは?
138) バッテリー初期不良の原因特定
137) DJI純正バッテリーの自己放電確認テスト
136) 5機目のDJI PHANTOM2
135) DJIは信用出来るのか?
134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
132) 宅配ドローン実証機制作 その2
131) 宅配ドローン実証機制作 その1
130) 航空法改正
129) 【特願A】実フライトテストNo1
128) 「ドローンから落下させる」機構制作とテスト
127) ドローンの飛行時間について
126) ゲインとは?
125) 首相官邸屋上のドローン落下事故に関して
124) リポバッテリーの検査方法
123) GoProのNDフィルタに関して
122) ホワイトハウス無人機墜落に関する推測
121) 特許出願機の実体化
120) 墜落原因の報告義務について
119) 危険な業者の判断方法
118) 注文者責任のとらえ方の変化に関して
117) マルチコプターが旅客機を墜落させる
116) マルチコプター全面禁止というシナリオ
115) マルチコプター墜落原因の解析について
114) GPSハッキング
113) 管理責任者の表示
112) フライト総重量の明示
111) 湘南国際マラソン墜落事故を考える
110) 雨とリチウムポリマーバッテリー
109) DJI lightbridge テスト開始
108) DJI Phantomd純正プロペラの評価
107) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価 その2
106) SUNNYSKY Xシリーズの評価 その2
105) 大型機とFPVの解禁
104) 「螺旋下ろし」で安全な機体回収
103) 固定ピッチのメリットとデメリット おすすめ
102) 3Dプリンタ打ち出し部品を信じるな!
101) 3Dプリンタとマルチコプター
100) 技術解説100ページの区切
99) マルチコプターとPL法
98) スチール撮影用マルチコプター入門
97) リポバッテリー内部検査の理由
96) T-MOTOR Antigravity MN2214の評価
95) SUNNYSKY Xシリーズの評価
94) フルスクラッチマルチコプターのススメ
93) SONY SEL1018は、マルチコプター空撮に使えるか?
92) Amazon Prime Air
91) α7とα7R
90) 動画撮影前提のマルチコプターフライトテクニック
89) 航空法第二条
88) リポバッテリー充電ステーション設計中
87) マルチコプタージャマーについて
86) 空撮屋必修の書籍 :「一般気象学」 おすすめ
85) 電波障害の再検証
84) 空撮会社のノートパソコン
83) マルチコプター空撮機材車
82) 選別落ちリチウムポリマーバッテリーの例
81) プロペラバランスを極める
80) 機材車増車
79) 受注制限に関して
78) ブラシレスジンバル【1.0kgクラス】 業務投入開始
77) ブラシレスジンバル・最初の2週間
76) 1.0kgクラスのジンバル交換
75) 「GoPro HERO3 + ブラシレスジンバル」初フライト
74) ブラシレスジンバル組み付け中
73) パソコンの高性能化により、機体を軽量化?
72) モーターを使い切るノウハウの公開 おすすめ
71) 黎明期から成長期に入ったマルチコプター空撮
70) 夏場の駐車車内の温度上昇対策
69) 「社員パイロット」の責任範囲
68) 「幽かな彼女」ワーク解説
67) マンション眺望撮影専用機体の開発開始
66) コンパクトデジカメの可能性
65) 「フライト重量」は重要な技術スペック
64) 1.0kgクラス・最初の1ヶ月
63) AR.Drone 【屋内ハル】の流用
62) 1.0kgクラス4モーター フレーム再設計
61) 1.0kgクラス4モーター開発経過
60) 屋内限定業務用クアッドコプター開発開始
59) ハンディーカムCX430V導入
58) DJI Wookong-MのGPSアンテナ
57) DJIの品質は大丈夫なのか?
56) フタバ14SGは空撮送信機の定番と成り得るか?
55) サイバーショットDSC-WX200発表
54) リチウムポリマーバッテリーの短絡テスト おすすめ
53) 「科捜研の女」2時間スペシャル撮影例
52) 軽量マルチコプターにベストなカメラは?
51) GTOスペシャルのワーク解説
50) リチウムポリマーバッテリー考察
49) 変電所付近での電波障害
48) ノーファインダー撮影が基本
47) DJI Wookong-Mの暴走原因の特定完了
46) 墜落テスト[2.0kgクラス 6モーター 2012年12月編]
45) DJI Wookong-Mの最新ファームに関して
44) AR.Drone 2.0はブロの撮影に使えるか?
43) プロペラ接触危険率 おすすめ
42) 2.0kgクラス高機動タイプ [Ver2] 開発中
41) 2012年夏のマルチコプター墜落の解説 【このページにて原因の特定説明】
40) 「受注見合わせ」と、「フライト制限」に関して
39) 重量級テスト機体の処分
38) マルチコプターに関する特許出願の内容
37) オクトコプター初フライト
36) 「人物接写空撮」とは?
35) 「2.0kgクラス 6モーター」第一期大規模改修完了
34) 「引きのカット」のカメラ角度について
33) 軽量マルチコプターだから出来ること
32) 0 [Zero]の機体が軽く精度が高い理由
31) マグネシウム合金が理想的なマルチコプターフレーム材
30) 6モーターは危険?安全?
29) 8モーターが安全な理由
28) 4モーターが危険な理由
27) DSLR搭載機開発の一時凍結
26) 初のマルチコプター空撮業務の解説
25) マルチコプターの事故と注文者責任 おすすめ
24) 降雪時のマルチコプター空撮サンプルとは?
23) エクストリーム空撮
22) プロペラバランス
21) リチウムポリマーバッテリー
20) マルチコプターの防振対策
19) JR XG8 本採用
18) モーターテスト用ベンチ制作
17) GoPro HE HERO2 専用ジンバルの試作例
16) 機体設計の方向性
15) ラピド工房
14) DJI Wookong-Mは最新ファームによりトラブル解決
13) αゲルとジンバル
12) 空撮ムービー撮影にフルサイズ一眼は必要なのか?
11) バルーン空撮屋の都合
10) DJI WooKong MとJR・DMSS2.4GHzとの相性?
9) DJI WooKong Mの初期不良確定
8) 犯人はコントローラー?受信機?
7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入

Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要