注意:
このページの内容はバルーン空撮に用いるカメラとして述べられています。
一般用途とは大きく異なるので参考までにご覧ください。
昨年、2009年版:空撮プロが使うレンズというページを書いています。
その中で結論づけているのはバルーン空撮は5Dmk2がベストという内容です。
1年経過した2010年の秋の段階でも、この答えは変わっていません。
しかし、このカメラには欠点もあります。
使用が想定されるレンズと含めると重量が1,200~1,700g。
自ずと搭載出来るバルーンの大きさにも制約があります。
ヘリウムガス容量に換算すると、15立米は欲しいところです。(従来のバルーン)
0 [Zero]の車載式バルーンは6.5立米。
なお、安価なバルーン空撮に採用される7立米クラスのエバール製バルーンはフルサイズ(と、それに見合う高級レンズ)の搭載は困難です。
APC-Cサイズのデジタル一眼レフを用いるのが一般的です。
6立米クラスの大きさで、スタビライザー(自動水平)付きのフルサイズデジタル一眼レフを搭載できる0 [Zero]のバルーンが極めて優秀であることがわかって頂けると思います。
本題に入ります。
ここで取り上げるのは約350g(レンズ+ボディ)のSONY NEX-5。
バルーン空撮に用いると以下が欠点となります。
・APS-Cであるため画質面で不利
・純正レンズのラインナップが少ない
・信頼性の高いレリーズが無い
・ボディ内手ぶれ補正の非搭載
・Wi-Fi転送などの拡張器機が無い
欠点を並べると、今さら購入するべき機材とは思えません。
ならば、なぜ本機のテスト購入を行ったか?
1):複数台のNEX-5の同時運用テスト(パノラマ撮影想定)
2):Eマウントの将来への投資
3):他社(安価なバルーン空撮)がどの程度の画質で撮れているのかの確認
以下で購入理由を詳しく解説します。
2004年頃の弊社サイトにて公開されていた、空撮CubicVR撮影の為に開発されたラジコンヘリコプターです。
3台のデジタルカメラ(ニコンのハイアマチュア機)を搭載していました。
この頃のノウハウを転用して、バルーンによる特定用途向けのカメラシステムを新規に開発します。
もしもテスト結果が良ければ、2台目の購入。
2台購入後の結果も良ければ、最低でも4台の購入を行うことになります。(この時点で実務導入)
実務の量が十分あると判明すれば、さらにスペアも必要となります。
この場合は最大で8台の購入を行うことになります。
なお、最初のテストは合格。
本日、2台目の購入となる予定です。
フランジバックは短く、マウント径が大きい。
これがEマウントの特徴です。
将来的(技術的には今すぐにでも)にはフルサイズの導入が約束されています。
この写真からもわかりますが大きめのマウントから小さめ(APS-C)の受光部がすぐそこに控えています。
フルサイズが今後出てくることは容易に想像できます。
なお、今回のEマウントの採用は数年後に振り返ると大きな転換点となっている可能性があります。
キヤノンとニコンも、フルサイズミラーレスはいつでも出せる状態。
しかし、カメラメーカーであるが故にミラー機構を持たないカメラを発売するには抵抗がある。
今のソニーだからこそ踏み込めたマウント規格と呼べると思います。
ミラーレス一眼は軽量である事は最大の特徴ですが、バルーン空撮ではもう一つの大きなメリットがあります。
それは超広角レンズの画質が良くなる余地が増える事です。
従来の一眼レフではレンズの後端はミラーの位置から限界が決まります。
広角レンズはレンズ後端を受光面に近づけると画質が有利になる。
これはフィルムカメラの時代でも、レンジファインダーの広角が優秀であることから容易に想像できます。
0 [Zero]がEマウントに期待するのはフルサイズデジタル一眼では不可能なコンパクトで写りの良い超広角レンズの出現です。
重量1.5kg以上を必要とするフルサイズの写りを、重量500gで叶えられる可能性があります。
可能性と言うよりも・・・
すぐにでも実現できる時代になっています。
←レンジファインダー用の広角レンズの装着。
コンタックスGマウントの28mmレンズです。
フランジバックが短い為、通常のデジタル一眼レフには取り付けできないレンズです。
ソニーの技術なら、フルサイズEマウントも、ホディ300g以下で実現できる事でしょう。
写りは現在の5Dmk2と同等で数年以内に発売されると予想します。
このボティの採用により、一気に500gの機材の軽量化が実現されます。
さらに、短フランジバックに対応した新設計の高級な広角レンズなら、レンズ側でも500gの軽量化が可能と思われます。
5年後には現在と同等の写りで1,000gの軽量化が可能・・・
撮影部分で1,000gの軽量化が実現できれば、他の部分の軽量化も自ずと可能になります。
つまり、今よりも1,200gの軽量化もイメージできます。
バルーン空撮では常日頃から0.1gの軽量化が重要であると考えています。
数年後の自社のバルーンの大きさを決める為にも、Eマウントは手元に置く必要がありました。
NEX-5とキットレンズである16mm(フルサイズ換算24mm)と業務のメインであるTS-E24mmⅡを比較。
共に、ベストな写りとなる絞りにてRAW撮影。
NEX-5はフォトショップCS5にてレンズ補正。(TS-Eは補正非対応)
NEX-5に合わせて、5Dmk2の画像をリサイズ。
NEX-5+16mm 353g 実売価格¥50,000
5Dmk2+TSE24nn2 1,689g 実売価格¥400,000
写りは違って当然と言えます。
これが安価なバルーン空撮会社と0 [Zero]の違いの一つになります。
NEX-5は既に半日ほどのテストを終えています。
キットレンズは重量と価格から考えれば合格と言えるレベル。
キヤノンやニコンのAPS-Cと標準ズームの組み合わせよりは画質面で優れます。
重量はそれら(Canon Kissなど)の半分ですからバルーン空撮には最高のカメラです
テストをするまでもなかったのですがライバルがどの程度の画質で仕事をしているのかは知っていて損はありません。
今までも、キヤノンやニコンのAPS-C機は定期的にテスト購入を行っています。
もしも、期待以上の写りをしてくれるなら、フルサイズと置き換えられないかを探るのですが・・・
キヤノンやニコンのフルサイズ機の敵にならないというのが実情です。
41) 専用車両の集中メンテナンス
40) α7RⅡ狂想曲:その9 Vix
39) α7RⅡ狂想曲:その8 ThinkPad P50考察
38) α7RⅡ狂想曲:その7 ThinkPad P50到着
37) α7RⅡ狂想曲:その6 バルーンを独自開発する空撮会社
36) α7RⅡ狂想曲:その5 レタッチャー用ワークステーションのテスト開始
35) α7RⅡ狂想曲:その4 今までは空冷でした・・・
34) α7RⅡ狂想曲:その3 超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?
33) α7RⅡ狂想曲:その2 現場で必要なパソコンとは?
32) α7RⅡ狂想曲:その1「α7RⅡ」後という世界・・・
31) α7Rの業務投入開始
30) 撮影時の服装に関して
29) α7R赤外リモートレリーズ
28) α7Rリモートレリーズ制作
27) α7R ILCE-7R到着
26) 機動性という品質
25) 強風下の撮影を可能にする「ヒューズ」
24) ミラーレス一眼はバルーン空撮のスタンダード
23) 眺望撮影の、「良い例」と、「悪い例」
22) 2009年版:空撮プロが使うレンズ
21) 0[Zero]のバルーンが風に強い理由。その1「尾翼が大きい」
20) 最大風速13m/sの乱流下のテスト画像公開
19) 開発失敗バルーンの例
18) バルーン小型化の研究
17) バルーン独自開発の道程
16) バルーン素材としての塩ビとエバール
15) 新型の開発は一時停止
14) バルーン繋留角度解説
13) 寒冷地専用バルーンテスト
12) 空撮スペシャリストの技
11) 空撮と送電線
10) 空撮の保険について考える
9) 2008年版:空撮プロはどのデジカメを使う?
8) ヘリウムガス不足と値上状況
7) 標高2100m:高地撮影テスト
6) 機材開発例:レンズマウント
5) バルーン空撮と風について
4) バルーン空撮テスト
3) 空撮システム開発解説
2) バルーン空撮専用車両
1) バルーン空撮とヘリウムガス