マルチコプター用ブラシレスモーターという括りでは、高級品と言って良いT-MOTORを初購入。
今後の大型機の標準モーターとなり得ることから、本気の品質チェック。
購入は、2セット(8個)
ここのモーターは、前評判が良いことから少ない数でも適切な評価が出来ると思い、購入数をセーブしました。
購入価格は、1セット=4個で、約2万円。
このクラスのモーターでも、もっとも高価なクラスです。
左側が、SUNNYSKY X2212。
直前のテストでは、好成績を残し、次期主力モーター暫定一位としています。
このモーターと、T-MOTOR MN2214を比較していきます。
もちろん、SUNNYSKYの性能を大幅に上回るなら・・・T-MOTORが主力となります。
もしも、同性能という評価なら・・・外装色の関係から、SUNNYSKYとなります。
ここが事実上の決勝戦です。
まずは、重量から比較。
SUNNYSKY X2212 = 58.1g
T-MOTOR MN2214 = 57.8g
T-MOTOR MN2214は、性能的には僅かにと考える必要があります。
※ローター長・磁石長が長い。
つまり・・・
スペックシート上は、T-MOTOR MN2214の方が性能が高いにも関わらず軽量とになります。
SUNNYSKY X2212の数少ない欠点が重量面。
2.0kgクラスは、SUNNYSKY。
1.0kgクラスは、T-MOTORという使い分けも想定出来ます。
なお、T-MOTOR MN2214は、18AWG。
SUNNYSKY X2212は、16AWG。
T-MOTORの設計は、この様なところでも正しくされています。
SUNNYSKYのシリコンケーブルを交換すると、重量面は逆転するとも言えます。
至る所が、正しい設計がされています。
重量・冷却の両観点から、これがベストの設計です。
受け持ち過重が500g以下なら・・・個人的には、あと2gは軽く出来ると推測。
同クラスの普通のモーターよりも、1個あたり10g程度は軽量であると評価します。
1.0kgクラス(DJIファントム)の1個10gは効きます。
ここでも・・・
SUNNYSKYは、T-MOTORと同様の方法で軽量化の余地はあるとも言えます。
今回購入した複数のモーターと、既存のメインモーターであるFSD2830にてベンチ計測。
※ノウハウの部分なのでベンチデータの詳細は非公開。
以下が評価(左ほど、良い)
◆電費
T-MOTOR == SUNNYSKY > FSD
FSDとの差は、約5%。
思っていたよりも、SUNNYSKY が優秀であることを再確認。
◆最大揚力
T-MOTOR == SUNNYSKY == FSD
ほぼ一緒。
本来なら、T-MOTOR が明確な差を付ける項目のハズ・・・
※負荷としては軽めのペラ(実務想定)である為、注意が必要です。
◆振動(FSDは、選別後の調整済み品)
T-MOTOR == SUNNYSKY == FSD(調整済み) >>> FSD(未調整)
ここは、ある意味当然の結果。
◆重量(全て非改造での評価)
FSD < T-MOTOR < SUNNYSKY
FSDが、もっとも軽量。
◆軽量化の余地
SUNNYSKY > FSD >> T-MOTOR
T-MOTORは、軽量化の余地が少ない。
◆製造品質(イメージ)
T-MOTOR >>> FSD == SUNNYSKY
ブランドシメージの評価。「T-MOTOR使っていると言うと、取りあえず無難みたいな・・・」
◆製造品質(実評価)
T-MOTOR == FSD == SUNNYSKY
後記しますが、T-MOTORも普通の中国クオリティ。
品質という点では信頼出来ません。
T-MOTOR がトップを取って当然なのですが・・・
T-MOTORもSUNNYSKYと同様の方法でバランスが取られています。
※熱可塑性樹脂のウエイト
ここで、T-MOTORの基本的な加工精度の高さを再確認。
SUNNYSKYと比較すると、半分程度のウエイトでバランスが取れています。
これは、基本的な機械加工精度と、磁石との組み付け工程がしっかりしていることの証明です。
高級品というだけの事はありますね。
製造品質の評価にて、T-MOTORの評価を落としたのは組み立て品質の部分。
機械加工は、T-MOTORの出来がもっとも良いと評価します。
ハンダのレベル確認しようと、分解をはじめたところ・・・
こんなところを見つけてしまいました。
もちろん、仕込んでいません。
3本のケーブルを束ねている収縮チューブを外したところ発覚。
見えない所の手を抜くのは、いつもの中国クオリティですね!
これは組み立てた本人なら、当然わかっている事。
わかっていても・・・これなら出荷前のベンチテストで弾かれないことを承知で通していると睨みました。
この点は、将来の大型機モーター選定に際に大きなマイナス評価として記憶に残りました。
安価なモーターなら、この程度の手抜きは飲み込みます。
4個¥20,000の高級モーターであるからこそ、問題と思います。
こういう部分も含めて、キチンと管理されてこその高級モーター。
この様な手抜きをするなら・・・他の安価なモーターとの差別化は困難になります。
ベンチテスト時の疑問・・・
電燃も、最大能力も、SUNNYSKY == T-MOTOR
←コイルも磁石も、外見上はT-MOTORの方が大きい。
でもベンチの結果は、全くの同一。
コイル数・ローター径・ロータ極数は同一。
磁石が長い分は・・・T-MOTORのKv値が下がることは必然。
公称Kv値は、6%違うのに、結果は一緒。
導かれる答えは・・・T-MOTORの磁石が弱いのかという疑惑。
それとも、どちらかのKV値に偽りがあるのか?
大きなペラを使えば差が付くの可能性も残します。(テストは未実施)
暫定として、0 [Zero]が用いる範囲の小さめのペラでは、同性能と評価します。
結論としては、T-MOTOR MN2214の業務採用はありません。
・歩留まりは、SUNNYSKYと同等(どちらも、とても良い)
・重量・能力共に、SUNNYSKYと同等
・入手性は、少し悪い
・外装色は、白(実務では使いにくい)
・プロペラの選択肢が狭まる
・価格は、SUNNYSKYの2.5倍
・価格を正当化出来る製造品質が無い
SUNNYSKYが無ければ、FSDとの比較で悩みました。
MT2212などは、外装色も地味なので好ましい。
やはり、第三者からのイメージは良い方が有利です。
しかし・・・致命的な手抜きが印象を悪くしてしまいました。
価格が、SUNNYSKYの5割増し程度なら、手抜きの件も黙認出来ます。
2.5倍の価格なら、積極的にT-MOTORを選ぶ理由が思いつきません。
今回のT-MOTORのチェックは、今後の機材選定に少なくない影響が出てきます。
今までは、重量級の機体は、T-MOTOR一択と思っていました。
ここを改める必要が出てきそうです。
仮に、T-MOTORを採用したとしても、全数の内部検査は必須ですある事が確定。
2.0kgクラス6モーター以下は、SUNNYSKY X2212を今後は標準とします。
T-MOTOR MN2214とSUNNYSKY X2212は、同じベアリングが使われていました。
具体的には、NSK R-2ZZ(下)とRI-518ZZ(上)でした。
これは偶然にも、0 [Zero]がメインとしていたベアリングです。
このベアリングは、過去2年間にてメインとしていたベアリング。
アウターのバランス取りもそうなのですが、0 [Zero]が伏せていたノウハウが徐々に当然の事として世界に広まっています。
容易く、優秀なモーターが手に入るのは喜ばしいとも言えるのですが・・・差別化が大変になりますね。
本題に戻ります。
実は、国産ベアリングの採用よりも重要なのは、「はめあい」
T-MOTOR・SUNNYSKYは、どちらも完璧と呼んで良いレベルで、「はめあい精度」がコントロールされています。
特に、RI-518ZZのもっとも振動が少なくなる理想的なはめあいでコントロールされています。
開発初期に、ベアリングの質以上に「はめあい精度」が重要であるという結論に至っていました。
そこで、市販品をベースに機械屋にてボアアップなどという改造も実践していた経験があります。
その様な経緯があるからこそ・・・この精度管理には感心します。
この二つのメーカーに限っては、テスト購入した全てのモーターにて振動が少ない事を確認しています。
フレームの減衰が十分なら、防振機構は無くても実用になるレベルに近いと思います。
さすがに、直結とするには、コレットの軸精度なども必要。(SUNNYSKYは、調整可能)
初期購入の12個のなかで、ポン付けで軸精度が完璧レベル(3/100mm以下)に至ったのは、4個のみ。(これでも、驚異的な歩留まり)
2個は、安全にアウトのレベル。(10/100mm以上)
このアウトレベルも、独自の調整で容易に(5/100mm以下に調整可能)
早い話が・・・12個全てが業務投入可能なレベルになってしまいました。
今回のモーターテストの切っ掛けは、RI-518ZZの欠品が切っ掛けでした。
結果として、RI-518ZZから離れる事が出来なくなってしまったのですが・・・
国内のベアリング在庫が底をついたら、SUNNYSKY X2212を買い増しすれば良いという結論に至ります。
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140) 宅配ドローン理想重心機と特願A
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134) 2016年のDJIクオリティの確認
133) 宅配ドローン実証機制作 その3 特許と許可申請
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129) 【特願A】実フライトテストNo1
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9) DJI WooKong Mの初期不良確定
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7) DJI WooKong Mのトリムズレ
6) 上空フライトテスト
5) 離陸から撮影までの所要時間
4) 実務を想定した弱風条件の動画撮影
3) 1号機にカメラ搭載
2) 最初の一週間
1) マルチコプターの導入