「某自動車サイトのQ&Aと同じ質問にブログもどきが答えます」の第二十三弾。
商標は早い段階でチェックする必要がある。
そして、適切に対応。
これを怠ると痛い目に遭うというお話し。
Q:新しい名前で出てきたり、昔のモデル名が復活したり……。車名にもいろいろありますが、例えばトヨタでは、どのようにして決めるのですか?
引用元 : 「クルマの車名はどう決める? - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48405
回答例(webCG)
A:クルマのイメージが見えてきたところで、まず営業サイドの車両担当チームが案を出してきます。売れそうだとか、お客さんが覚えやすいという根拠で3つ4つ車名の候補を考えてきて、次に、私のような製品の開発部隊が検討する。それと並行して、商標チェックですね。
引用元 : 「クルマの車名はどう決める? - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48405
以下、私の回答。
A:私はトヨタの中の人で無い事から質問に答える資格がありません。
故に、今回は自動車と商標に関して述べていきます。
webCGでは以下に関しても語られています。
・商標権
実は、名前を探すよりも、この商標登録の確認=車名として使えるかどうかのチェックこそが重要で、大変な作業なのです。登録の状況は国によっても異なりますから、こちらではOKなのにあちらでは車名を変えなければ販売できない、ということもあり得ます。
いい名前・呼称というのは、だいたい世の中では商標登録が済んでいるというのが現実で、毎回苦労を強いられますね。
引用元 : 「クルマの車名はどう決める? - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48405
車名は、他の車と誤認される様な物を付ける事が出来ません。
また、販売されている車名に採用されていなくても、誰かが商標権を持っている物に関しても基本的には用いる事が出来ません。
多田さんのコメントの中では、「大変な作業」とされていますが・・・
特に難しい作業を必要としません。
主要国のチェックなら普通の方の能力で半日も動けば十分な調査が可能です。
知財の専門家なら、数分で完了します。
特に自動車は区分の観点からは楽な調査範囲ですね。
私もいくつかの商標を考えていますが、主要国の商標の確認よりも、名前を生み出す方が遙かに工数が多くなります。
※私は発明者ですが最低限の商標の知識は持っています。
なお、いつもの「某自動車サイトのQ&Aと同じ質問にブログもどきが答えます」は、ここまでとなります。
以下からは、BMW Miniのページとして記載していきます。
BMW Miniは、フルモデルチェンジのタイミングに入ってきました。 ※2024年
国内では、2002年から販売されているBMW Miniは、次世代で第4世代になります。
ここの主役のカントリーマン(日本名:クロスオーバー)は、3ドアの第2世代となる2010年にデビューしています。
カントリーマン第1世代は、BMW Miniの第2世代となるので注意が必要です。
以降は各モデルを以下の様に記していきます。
・カントリーマン第1世代 = BMW Mini第2世代 = 「1stカントリーマン」(日本はクロスオーバー)
・カントリーマン第2世代 = BMW Mini第3世代 = 「2ndカントリーマン」(日本はクロスオーバー)
・カントリーマン第3世代 = BMW Mini第4世代 = 「3rdカントリーマン」(日本もカントリーマン) New!
BMW MINI第4世代最初の車両が、「3rdカントリーマン」になります。
これ、商標で「やっちまった~」案件で、「1stカントリーマン」と「2ndカントリーマン」は、日本ではクロスオーバーとして販売されていました。
商標が第三者(国内のミニ専門店)が持っていて使用不能という状態でした。
その後も14年に渡ってクロスオーバーとして販売されることになります。
私は、第2世代を3台。第3世代から1台を現在も所有しています。
そして、第2世代の中の一台が、「1stカントリーマン」のCoper S のMT車となっています。
昨年、10年落ちの中古車として購入しています。
MINI Coper S COUNTRYMAN(クロスオーバー)導入
←本来は、CONTRYMANエンブレムと黒いラインが無いのが正解です。
過去のオーナーさんの趣味でCOUTRYMANエンブレムが入っています。
発売時の車名は、クロスオーバーなので知らない人が見ると、色々と不思議な状態になっています。
ラインの入れ方も含めて良い趣味と感じましたので、そのままにしています。
「1stカントリーマン」の段階で大きなエンブレムはデザインの一部として考えられていたと推測します。
「3rdカントリーマン」では最初から大きなCOUNTRYMANのエンブレムが入りますが、この大きなテールゲートにMiniのロゴのみでは間抜けになります。
「1stカントリーマン」のコンセプト発表時はロゴが入っていません。
※明らかに間抜けなのに
これ、コンセプトモデル発表の段階では三つの可能性があります。
A まだモデル名が未確定で非公開としたかった
B 日本でCOUNTRYMANの商標が取れない事が発覚
C 本当にエンブレム無しでデザインされていた
普通の自動車メーカー(知財に正しく向き合う)なら、Aしかありません。
でも、違うんだろうな・・・
ここから本題の商標の話に入ります。
以下を読み進めるために、事前にカントリーマンとクロスオーバーの関係を検索すると面白く読み進められるかと思います。
◆モデル開発:初代カントリーマン(日本名:クロスオーバー)の主要な動き
・2006年 コロラドプロジェクトとして、MINI SUV(R60)の噂が出始める
・2007年 テスト車両画像が出回る
・2008年5月 今秋にクロスオーバーがパリサロンでデビューの噂
・2008年10月 コンセプトモデル・「MINIクロスオーバー」発表
・2010年1月 ワールドプレミア
◆国内商標権利:ミニデルタ(株式会社デルタ)と商標の主要な動き
・2008年7月 商標登録願「カントリーマン」「ミニカントリーマン」 商標登録5204786
・2008年7月 商標登録願「ECO MINI」
・2012年11月 平成 24年 (行ケ) 10143号 商標登録取消決定取消請求事件(「ECO MINI」でBMWと争う)
・2023年7月 移転登録申請書「カントリーマン」「ミニカントリーマン」(譲渡)
「3rdカントリーマン」は、カントリーマンを名乗れるようになりました。
それは、国内商標を2023年7月にBMWに譲渡されているから。
これ第三者が調べる事は困難ですが、金銭で解決していると推測します。
そして、前権利者のミニデルタとBMWの関係が一時期は良好で無かったと思われるのが、2012年11月の判例から推測出来ます。
本当なら、「2ndカントリーマン」のタイミングくらいに商標を欲しかったのでしょうね。
でも、条件面で折り合いが付かなかったのか申請から15年の年月を経てBMWに譲渡されました。
このページの上部で取り上げているトヨタのやり方なら、「最初の試作車ができたあたり」とのことなので、初代カントリーマンの噂が出始めた2006~2007年に商標チェックが入る事になります。
その段階では、日本は商標が空いています。
それならば、日本も含めて各国で商標を押さえれば良いとなるのですが、商標を出してしまうと秘密は守れない。
その当時は4ドアのMiniという点でも十分な注目度。
市販の数年前にMiniのSUVがカントリーマンとなる事を出したくなかった・・・とも取れなくは無い。
これ、全く想像も出来ないような商品名なら、発表の数日前まで出願しないで正解です。
でも、「カントリーマン」は、クラッシックミニの時代から存在していた商品名。
これを放置したままでワールドプレミアを迎えるなど・・・
BMWの怠慢
この様なコメントしか出せません。
そして、権利者であったミニデルタは狙いすましてワールドプレミアの数ヶ月前に商標を出願。
ご丁寧に商品も用意して、「休眠商標」では無いとアリバイ工作。
ミニデルタが悪いとは言いませんが、気持ちの良い物ではありません。
彼らは否定すると思いますが、同時期に出願されている「ECO MINI」も含めてトロールと取られる行為です。
ここで面白いのが、2012年の判例です。
興味があったらご自分で調べて欲しいのですが、「ミニキャブ」はOKで、「エコミニ」はNGと司法で判断されています。
裁判官も人なんだな~と感じた次第です。
さらに妄想を続けます。
※ネット上の自由な意見のひとつなので悪しからず
2008年の段階でもBMWからミニデルタへの接触はあったと推測します。
そして、2008年の段階では商標の譲渡には至らなかった・・・
これ、恐らくですがミニデルタの思っている金額にならなかったのではと推測します。
どんなに調べても本当のところは出てくることが無いので妄想を続けます。
2008年に譲渡なら適切と思える金額は2,000万~8,000万と感じました。
鳴り物入りのBMWの新型車。
SUVであることから、2008年の段階でもマーケットは広がる可能性が高いと推測出来た。
ある程度はカントリーマンの知名度が国内にもあった。※それなら、事前に商標を取れ!
それでも、知財担当は200万とか言うんだろな・・・
ミニデルタは、どちらにしても「これでは足りない」と言う方向で交渉していたと推測します。
そして、BMWの怒りを買い、まさかの譲渡不成立。
トロール側(ミニデルタ)としては、全てのシナリオの中でこれがもっとも利益が無いパターン。
ミニデルタ側からは想定外の決着となります。
その後、MINIクロスオーバーとして2世代を消化。
もう、2008年当時の価値はなくなった段階で再交渉。
もしも私が折衝の担当で本社側から、そこまで強く求められてないなら、2022年頃に200万として打診します。
そして、「必ず取得しろ」との指令なら、最初は1,500万を提示します。
お互いに頭は冷えてますので、今回は譲渡に至る。
そして、2023年に譲渡とすると、「カントリーマン」の商標の価値は800万程度と推測します。
コレよりも安価ならミニデルタが妥協しすぎ。
高いならBMWの折衝能力が低いとコメントを残します。
どちらにしても、21世紀初頭のBMWは知財が弱かったことの証明とさせていただきます。
今回は商標を取り上げました。
ここでは、もう一つの知財として特許を取り上げます。
まず、個人的な見解から。
自動車業界は特許に後ろ向きである。
これ、30年くらい前(VOLVO240の購入)から感じていました。
私がVOLVO240に填まったのは、その真っ当な車両と会社のポリシーからです。
自動車の特許ネタとして覚えて欲しいのは以下の二つになります。
・三点式シートベルト
・エアバッグ
◆三点式シートベルト
車の歴史に詳しい方なら、ボルボが特許を無償公開していたと逸話を知っているかと思います。
なお、最初に搭載されたのがVOLVO PV544となります。
これ、20年くらい前に現車を所有していました。
ボルボ・PV544['62]
例えばですが、ボルボのシートベルト無償公開の際に他のメーカーがライセンスを受けてくれたら・・・
ボルボは、フォードに売却されることは無かった。
◆エアバッグ
これも是非調べて欲しい。
自動車メディアが書きたがらないネタです。
地上波でも自動車メーカーに忖度して番組は制作出来ないことでしょう。
特に発明者の経歴まで見て欲しい。
もしも見つからなければ・・・とりあえずはWikiでもご覧下さい。
エアバッグも国やメーカーが正しく向き合えば、発明者が日本人であった栄誉はもっと知れ渡った。
そして発明者は報われたはず・・・
少し自動車業界に喧嘩を売ります。
・バブル時代にBパラーを外したメーカー(多数)
・1度のレースで3回も車が飛んだのにレースを辞めないメーカー
自動車メーカーは慈善事業ではありません。
当然ですが利益を追求するのは当たり前の事。
しかし、超えてはならない線はあると思うのです。
過去に安全を投げ出した前科があるのに、いまさら安全を語るなと言いたい。
少なくとも、ボルボは終始一括して安全と環境を捨てなかった。
故に、行き詰まった・・・(この二つは20世紀では大きな利益とならなかった)
そして、宣伝では「安全」を語って、一定のユーザーの命を蔑ろにしている。
そう・・・
今現在でも最新技術のライセンスを受ければ助かったハズの命が失われているのです。
コラムの最初に書きましたが、昔よりはマシになっています。
でも、相変わらずの部分は沢山あり、ライセンス料を払うなら全メーカーでボイコットしよう。
自動車業界の、この様な考えの根はかわっていません。
例えば自動運転も各社が協力して一つの規格をまとめるとします。
お互いに所有している特許がカバーする範囲が増えることから、やりたくても出来なかったことの範囲が広がる。
提供価格は下がり末端の車まで最新の自動運転を入れることが可能です。
でも・・・ こんなことはしませんね。(自分の利益が減るから)
彼らは言葉で繕いますが、本質の部分は全くかわっていない業界と思っています。
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