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欧州車と日本車との性能差について

「某自動車サイトのQ&Aと同じ質問にブログもどきが答えます」の第三十三弾。

今回は昔から繰り返されている定番の質問です。

欧州車と日本車との性能差について

Q:クルマの紹介記事では、「欧州車に追いついた」や「欧州車に比べると……」など欧州車をひとくくりに「いいもの」として褒めるような記述がしばしば見られます。21世紀の現代でも、依然として欧州車は世界のトップレベルなのでしょうか? 安全性や燃費、コスパにおいては日本車(トヨタ)がとっくに世界一なのではないかと思うのですが……。ご意見をお聞かせください。
引用元 : 「欧州車と日本車との性能差について - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48751

回答例(webCG)
A:今やそれほどの差はないですね。技術的な違いは、ほとんどないといっていいでしょう。
引用元 : 「欧州車と日本車との性能差について - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48751

以下、私の回答。
A:安全に関しての基本的な「考え方」は相変わらずの周回遅れ。
それ以外の部分では、日本車の方が勝っていると評価出来る部分も多いが、この傾向は昔から変わっていない。

webCGでは以下に関しても語られています。
・欧州の道
・実走とシミュレーション

「安全性」に関する観点からの、欧州車と日本車との性能差

答えから書きます。

国産車 → テストの成績重視
欧州車 → 実利重視

○○車が、□□安全基準の△△を獲得!
コレ、よく見るヤツですね。
ズバリ国産車はこの獲得を目的として安全面の設計がされています。
そして、この評価項目以外では手を抜いているというのは昔からの伝統です。
あなたが思っている安全なメーカーも、この傾向はかわりません。
欧州車としましたが、この反対側の姿勢を取るのがボルボです。
興味があったら調べて見ると良いのですが、スモールオフセット時の「受け止めない」という考え方は素晴らしい物があります。
※日本の衝突安全では全く評価されない項目

イメージで語るのはらしくないので、根拠を示します。
・欧州の「ハイエース」にはボンネットがある
・日本の代表的なミニバンは欧州では販売されない(安全性軽視の国では販売)
・軽自動車は欧州では販売されない

国産メーカーは安全に対する関心度が高い欧州と国内では明確に車を作り替えています。
欧州メーカは差を付けずに世界中で販売しています。
つまり、車の消費地としての日本は世界から見ると明らかにガラパゴスなんです。

安全に関するネタを一つ。
現行のFiat500ですが、前期と後期では衝突安全性能が別物です。
前期は、「危ない車」として当時のネットでネタにされていました。
その対策として後期ではパッシブセーフティーが大幅に強化されています。
開発車は、「このサイズなんだから高速道路なんて走ってくれるな」と思って設計したと思います。
私のところも、この前期と後期を持っていますが、「高速乗るな!」は話しています。
でも、消費者はお構いなしという事ですね。

ここまで読んで、「今では国産車の安全性は高いよ」と反論するなら・・・
最低でも、北米と日本の衝突安全のテスト項目はざっとでも見て欲しいところです。

なお、国産メーカーの安全性軽視の伝統を馬鹿にする気はありません。
私も中の人なら、彼らと同じ動きをします。
なぜなら・・・「安全性高い車を販売して、会社が成り立たなくなったらどうする」と問われれば反論出来ません。
あくまで、商売ですので売れる車を作るしか無いんです。
そして、日本人は安全性よりも、燃費やコスパを重視します。
日本人は、自身の車の使い方から安全性を選定するのでは無く、然るべき機関のお墨付きを重視しています。
恐ろしいのが、このお墨付きさえあれば自分で考えることをしないという国民性です。
この様な国民性から、軽ハイトワゴンの流行などというガラパゴスの極みに入ってしまった国です。

つい最近に、「初めてのミニバン」を購入寸前まで検討しました。
その結果は、安全性に落胆して購入を断念という落ちが付いてしまいました。

以下では、この様なガラパゴスになってしまった理由を掘り下げて行きます。

欧州の道

その要因は“道”です。日本における日常生活の道と、欧州の道とでは、その厳しさがまったく違うのです。例えば、速度レンジ、石畳を含む路面バリエーションの多さ、非常に変わりやすい天気など……。そういうなかで暮らしつつ日々クルマを開発しているのと、日本で机上の開発をしている差、といったらいいでしょうか。現地でのテストはコストがかさむのでコンピューターのシミュレーションを駆使するようにはなったものの、そうした日本車と、人間の感覚で厳しくテストしている欧州のライバルとで、若干の差が出てしまうところはあるわけです。逆に、それくらいの差ともいえますが。
引用元 : 「欧州車と日本車との性能差について - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48751

この様なコメントもよく見るタイプのヤツですね。
開発者が欧州の生きた道をウンヌンという方向です。

ここですが、「開発者」は当然として「消費者」も該当するのです。
欧州と国内の最大の違いは、消費者の運転に関する経験値の部分なんです。
日本でも、天候がコロコロと代わる地域はあります。
イギリスほどでは無くても路面がボロボロのところも。
望めば、欧州と同等の最高速度も試せます。(もちろん、非合法)
さすがに、石畳は試せませんが、逆に欧州にはない走行条件もあるのです。(渋滞とか)

日本人が勘違いしているのが、欧州の車はあらゆる路面状況と走行スタイルを想定されているという点です。
ここ、まったく違います。
欧州の路上を観察すると見えてきますが、自動車のボディータイプやメーカーは地域毎に明確な差があります。
それは、「何かが人気」ではなく、その地位の使いやすさ起因としいるのが見て取れます。
具体的には、セダンやワゴンが未だに多いドイツとハッチバックの多いイタリアなどになどに現れます。
全体的に言えるのは日本と比較するとSUVは少なめで年式は古め。
スライドドアは、基本的には商用車のみというのは欧州の共通です。

そして、日本との最大の違いがラウンドアバウトの存在。
自転車ロードレースなどを、2~3時間見ていても信号がひとつも無いのは普通の事です。
200kmくらいの一般道を走っても信号に遭遇しないんです。
本題から外れますが、日本ではラウンドアバウトは馴染まないと思っています。
いくつか理由はあるのですが、独自の物を一つだけあげます。
それは、「交差点の地価が下がるから」になります。
事故が減って再開発も入るので周辺の地価は上がります。
でも、角地の商用地は地価が下がる。
これは、日本人が認めない方向の案件です。

初期のハイプリッド車の時代に欧州がハイブリッドを嫌った事を覚えている方もいると思います。
彼らは、「止まらなければ充電のチャンスは無く、充電しないならハイブリッドは無駄」と考えていました。
日本人には感じにくい事ですが、如何に運動エネルギーを無駄にしないかを意識して運転しているのです。
アイドリングストップもハイブリッドも、その昔は国産車の方が出来が良かったですよね?
でも、コースティングでは欧州車が勝っていました。
欧州車は日本的には過剰なブレーキが装着されます。これは用いる速度が高いから。
ドライバーの多くは高い速度を如何に無駄にしないかを考えて運転しています。
日本人は無駄踏みが多すぎですね。

私は過去の経験から欧州よりの自動車を好みます。
生活環境や車に対する考え方が日本人とは離れているという自覚は若い頃からあります。
その原因として以下をあげます。
・日常的に1日1,000kmを走行
・10代の頃の自転車での1日の平均走行距離は100km超え
・中学生の頃は、スキーのアルペン競技を目指していた
・初期のドローン空撮パイロットの第一人者であった

日本ではマイナースポーツである競技自転車と競技スキーを趣味としていました。
この経験から言わせていただくと、「ロードインフォメーションなどで気が付くのでは手遅れ」という話です。
未だに疑問なのですが、なぜ、あんなにも多くの車好きはロードインフォメーションを求めるのでしょうか?
確かに、ドライ路面でスライドさせるには重要な部分です。
※ニュルブルクリンクでBMWが多いのは納得出来る

でも・・・公道しか走らない実用車で、そんな性能を必要としますか?
ここで無用としたのは、自転車ロードレースなどでは、目視による路面状況の把握が基本になるからです。
タイヤから入るインフォメーションを感じての減速では間に合いません。
ドライでもウェットでも、正しく目視で確認して対応するのが基本。
集団走行時は、さらに周囲への告知も入ります。
この様な環境で揉まれると自然と路面への目視での対応というクセが付いてしまいます。
この様な考え方だとAudiの素性は誠に相性が良いのです。

ここで方向性を変えます。
この様なマイナーなページを深くまで読み進める方は、特殊な方でしょうからさらに進みましょう。

質問です。
あなたは、ブラックアイスバーンにどのように対応しますか?

私は、もっとも重視しているのが経験の部分です。
具体的には、プラックアイスバーンの出現条件への対応です。
もっとも気をつけているのは、「ブラックアイスバーンが出現する条件で走らない」になります。
何らかの理由で走る事になったとします。
その場合は、夕方から夜にかけてとなる事が多いので、まずは外気温の観察。
そして、定期的な路面の状態の確認(水分とか凍結とか)
ブラックアイスバーンの判定にロードインフォメーションは全く用いてないのです。

さらに、続けます。
あなたは、ハイドロプレーニング現象にどのように対応しますか?

これ、ブラックアイスバーンよりも出現の予想が難しいところです。
夕立などに起因することが多い事から当然ですね。
今までの流れとは矛盾しますが、ハイドロプレーニング現象はロードインフォメーションで確かに予兆は感じ取る事が出来ます。
でも、その様な条件なら・・・目視でも予想は出来ますよね?
ブラックアイスバーンを温度情報無しで目視するよりも遙かに簡単です。
さらに、長距離移動が想定される用途は、高速道路でのハイドロプレーニング現象に強い車から積極的に選びます。
具体的には・・・
・AWD
・雨に強いタイヤ
・重たい重量
・細いタイヤ
この様に備えて高速道路で大雨に遭遇したなら、私の取ることは極めてシンプル。
「他の車が走れているなら、私は問題なし」で判断します。

少し意地悪になりますが続けます。
あなたは、津波被害を想定して車選びをしたことがありますか?

都内のGクラスの多さ。
彼らは車を購入する際に、「災害にも強いから・・・」と何となく思っている気がします。
確かに経験値が低い方の運転でも車の素性が高い方が生存率は高まる。
同時に、経験値が低い故に、無理がたたって事故に至るというのも多いのです。
スキー場の周辺で4WDの事故が多いのがこのパターンです。
そして、津波や洪水などというパターンでも、これは当てはまります。
経験者が然るべき車に乗っていると・・・明確に生存性は上がります。
でも、未経験者(都内のSUV)が、この様な場所に入ってしまうと、スタックした邪魔な車を一台増やすのみです。
過去の車選びでも、AWDから積極的に選択。
また、ハイドロプレーニング現象や凍結路対策の一環としてスタンバイAWD(生活四駆)を避けるのもいつも通りです。
もちろん、燃費は捨てているという事ですね。

本題に戻ります。
津波想定までを日本の道と考えると・・・
日本の道も結構過酷です。

実走とシミュレーション

現地でのテストはコストがかさむのでコンピューターのシミュレーションを駆使するようにはなったものの、そうした日本車と、人間の感覚で厳しくテストしている欧州のライバルとで、若干の差が出てしまうところはあるわけです。逆に、それくらいの差ともいえますが。
引用元 : 「欧州車と日本車との性能差について - webCG」
https://www.webcg.net/articles/-/48751

まずは、問題と感じた部分から。
「欧州のライバルとで、若干の差が出てしまうところはあるわけです。逆に、それくらいの差ともいえますが。」
この部分です。
実走を軽視した車作りに実害がある事は承知しているのです。
そして、それは小さい事と認識しています。
ここ、私と全く逆の部分です。
昨今の車は、一昔前と比べると、様々な部分で進化しています。
同時に実走を蔑ろにした開発姿勢が生んだ瑕疵も明確になっているのです。
代表的な瑕疵が、ナビゲーションシステム。
その昔は社外が普通であったナビゲーションを、自動車メーカーは自社の売上げとすべく標準装備としたのです。
この傾向は欧州車ばかりではありません。
トヨタのナビゲーションも同様に実走不足から来る瑕疵(未完成なのに販売してしまう)を抱えています。
若いエンジニアは、シミュレーションが大好きです。
私も「使うな」などという気は無いのですが、リアルよりも重視するという姿勢に関しては大きな疑問を持っています。

「現地でのテストはコストがかさむので・・・」
何も、国産車の開発の為に欧州を走れなどと言う気は無いんです。
お願いです。
国内で構わないので、キチンと走って下さい。
ハイエースを過去に持っていましたが、あれは典型的な走らないで開発された車である事は実感しました。
・助手席から読むことが出来ない燃料計(長距離テスト不足)
・大雪でバックすると剥がれるアンダーカバー(大雪での実走不足)

でも、これで売れているんだから・・・・ 体質を変える気はないですよね。

まとめ

サプライヤーもエンジニアもグローバルに活動することは当然です。
中国車などが急速に追い上げたのも、このお陰です。
では、未だに国毎の車に多少なりとも個性があるのはどうしてか?
サプライヤーもエンジニアも同じなら金太郎飴になって当たり前なのに・・・

その答えは、決定権者の生い立ちにあると考えています。
例えば、昨今のトヨタ車。
明らかに20年くらい前の雰囲気と大きく異なっています。(もちろん、好ましい方向に)
その原因は、決定権者の能力と考え方の違いから生まれたと推測するのは容易いところです。
物作りの条件が世界中で平均化しているなら、差を出せるのは決定権者に寄るところが大きくなります。
正しく時勢を読み、自身の責任の下で企画を通せる強さ。

自動車メーカーは大きな組織です。
トップが末端までの判断の全てをするのは不可能です。
当然ですが、ツリー構造で決定権は細分化されます。
この末端の設計を判断する人間が最終出力に大きな影響を及ぼしています。
例えば、若手のエンジニアが提案してた「新しい事」
その価値を適切に判断し、必要ならば採用。ダメならば、なぜ否定するのかを納得するまで説明する。
この様な事が出来る、「小さな決定権者の質の低下」が、昨今の地盤沈下を生んでいると感じています。
ま~私自身も、同じ様な事をして失敗してるので、人のことは言えないのですが・・・

本題をまとめます。
未だに、欧州車と国産車の差はある。
この原因は、実は消費者側にあり、消費者が変わらない以上はメーカー間の性能(考え方)の差は埋まらない。
どちらが正しいでは無く、選択肢が多くある事は良いことと考えれば良いと思います。
私も、高速に乗らない老人が運転する近所の車なら、最新の軽自動車は優れた物だと感じています。

某自動車サイトのQ&Aと同じ質問に答えてみる

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