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バルーン空撮[技術解説] - α7RⅡ狂想曲:その3 超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?

ステッチ用PCと、レタッチ用PC。64GBメモリ搭載でも、「足りない」という画像加工とは?

注意:
このページを含む、「α7RⅡ狂想曲」と題される全てのページは、0 [Zero]の業務に特化して述べられています。
それは、「幅20mのパノラマ画像を近距離で鑑賞」という用途・・・
具体的には、「高層タワーマンションのモデルルーム」や「コンコース」に用いられるパノラマ画像です。
同業者には大変参考になる内容かと思います。
それ以外の方には、「こんな世界もあるんだ・・・」程度の軽い気持ちでご覧下さい。
真剣に読むと疲れると思いますので・・・

超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?
超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?

・膨大なメモリ搭載量=256GB対応
・4K出力可能な上質なビデオボード
・膨大なRAW現像を処理出来る速いCPU
・SSDは、大きく速く
・PCI Express3.0スロットは数多く
・高い信頼性

4K動画編集や3DCGの世界と、「超高解像度パノラマ加工」という世界では、必要とする性能が少し異なります。
基本的には2Dなので絶対性能は低めです。
CPUの絶対性能も3DCG程は必要としません。
もっとも大きな差となるのが、必要とするメモリの搭載量。
一言で言うと、特大のPSB(Photoshop lage)を保存出来ること。
この一点のみで、128GBメモリ搭載を必要とします。
色調整のために4200万画素をベースとする高解像度パノラマ制作中に、PhotoshopとPTGuiを行ったり来たりします。
Photoshop単体でも、128GB以上のメモリが必要となるPSBファイル。
それを扱うPTGuiも、64GBは確保したいところ。
1台で平行して扱うには、256GBが妥当と思えます。
今回の狂想曲は、64GBのメモリ量ではPhotoshopが破綻するのがスタートです。
故に128GB搭載へのステップアップなのですが・・・
恐ろしい話ですが、ステッチャー用は256GB超えまで想定する必要まで出てきました。
もしかすると・・・CPUの2個搭載でRAW現像の速度を上げて、512GB搭載の可能性を残すというプランまで必要かも?
2Dの画像処理では、最高レベルという世界に入っていきます。

サムスン 850 PRO MZ-7KE2T0B/IT

SSD

← サムスン 850 PRO MZ-7KE2T0B/IT
容量は2TB。
現場パソコン用として購入していますが、加工用パソコンとしては不向きです。
決して遅いSSDでは無いのですが、レタッチャーは、PCI Express接続のSSDを必要とします。
ステッチ・レタッチ共に、ここまでの容量は必要としません。
あくまで、現場用のSSDです。

750 Series SSDPEDMW400G4R5

← インテル750 Series SSDPEDMW400G4R5
容量は400GB。
10GBを超える様なPSBファイルを日常的に取り扱うには、「これでも遅いくらい」です。
基本的には、仮想ディスクをここに置きます。
なお、一昔前のLGA2011環境でも問題無く本来の性能が発揮されていました。
ただし、貴重なPCI Express3.0を消費することから採用には注意が必要です。

映像編集系の方は、さらにRAIDを組むのかも知れませんが、0 [Zero]の用途(高画素2D)では、取りあえず一基でいきます。
ただし、数年先を考慮する必要があることから、PCIスロットは多めのマザーボードから選択します。

画像ファイルの壁

超高解像度パノラマの世界では、以下の壁を意識することになります。

PSD:2GB
TIFF:4GB
PSB:400万テラバイト
PSBの最大画素:300,000 × 300,000pix

PSDファイルの限界は、比較的簡単に達する事になると思います。
空撮パノラマの世界でも、広告用途を意識すると2010年に一部の業者は達していたことかと思います。
しかし、TIFFの4GBの壁は、そう簡単には達しません。
PSBなどにより制作された、10GB超えのファイルも納品物となるTIFFなら、4GBを下回ります。
0 [Zero]でも、α7R(3600万画素)ベースの時代は超えることがありませんでしたが・・・
α7RⅡ(4200万画素)ベースの最新の商品では、TIF4GBの壁に達する事が判明しました。
ここで困ってしまうのが納品の方法。
このファイル容量に対応する自社Webサーバーは都内に設置しています。
しかし・・・セキリティの関係からデータが落とせないという客先がチラホラ。
ならば、有償のファイル転送サービスを使うと言う事になるのですが・・・
こちらも、複数の画像から構成される大容量ファイルは、十分な検証がされていない雰囲気です。
まだ検討段階ですが、PSBファイルをSDカードに焼いて郵送にて納品という方法を検討しています。

公開日:2015/10/09
最終更新日:2015/10/09
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