注意:
このページを含む、「α7RⅡ狂想曲」と題される全てのページは、0 [Zero]の業務に特化して述べられています。
それは、「幅20mのパノラマ画像を近距離で鑑賞」という用途・・・
具体的には、「高層タワーマンションのモデルルーム」や「コンコース」に用いられるパノラマ画像です。
同業者には大変参考になる内容かと思います。
それ以外の方には、「こんな世界もあるんだ・・・」程度の軽い気持ちでご覧下さい。
真剣に読むと疲れると思いますので・・・
左:α7R (2013年11月15日発売・3640万画素)
右:α7R II (2015年8月7日発売・4240万画素・Exmor R)
0 [Zero]では、両機種を発売日に入手しています。
α7Rはバックアップも含めて2台購入。
2015年10月の段階では過渡期として、α7R II は1台のみ。
発売前のスペックの段階で、どちらも実性能でトップとなることが約束されたカメラ。
この分野では、Canon・Nikonのどちらも追いつくことが出来ません。
他のページでも述べていますが、「短フランジバックの正義」が空撮高解像度パノラマという世界を支配します。
時は2013年の、α7R発売時に遡ります。
このカメラは、Nikon D800の解像度を軽量に実現出来る事でインパクトがありました。
今までは搭載不可能であったブラシレスジンバルの搭載余力が生まれたのです。
この登場のタイミングでスタビライザーなどの撮影器機が全面的に一新。
最初期はマウントアダプターにて最新のNikonの広角単焦点を用いていました。
その後に純正レンズ(フルサイズEマウント対応)が発売される毎に、レンズも徐々に入替。
ほどなくCanon・Nikonのレンズは退役となりました。
この2年間でボディ・レンズ・スタビライザーの全ては入替となりましたが、それ以外の器機には変化がありませんでした。
それは、α7R以前のメインボディのNikon D800と、α7Rは基本的には同一の受光部を用いていたことに起因します。
レンズ分の差は生まれましたが、D800とα7Rは画質の面では大きな差はありません。
時は現在へ。
α7R II のスペック発表時に0 [Zero]が注目したのは画素数よりも、Exmor R採用の部分。
ドローン空撮の機材開発の際に、Exmorの性能の高さは実写テストで確認しています。
2015年10月現在も、2012年発売のDSC-RX100をドローンによるスチール撮影のメインに据えていることで証明出来ます。
無印からS型(この時点ではⅠ)まで、5台のα7系を購入しているのに、実売価格5万円のDSC-RX100(Exmor)は不動だったのです。
つまり、必要なコストを投じてテストを繰り返す0 [Zero]の機材が、安価なDSC-RX100を使い続けている・・・
全ては実写テストの結果から選択された機材です。
このExmor Rが搭載された、初のフルサイズとなったα7R II 。
8月に購入して、既に何回かの実務に投入されています。
※2015年9月以降に都内のマンションショールームなどに随時納入
Exmorの特性上、「夜景の画像は飛躍的に向上」しています。
このステップは、過去10年間に発売されているカメラで最大。
まさに、「α7R II から次の時代に入った」としていい部分です。
そして、狂想曲のスタートとなるのが・・・昼の撮影でした。
α7R と純正55mmでも、ライバルはいないという性能でした。
一流メーカーの50mm前後のレンズでも四隅の画質でα7R とは周回遅れの差がありました。
その、α7R の昼間の性能を、α7R IIでは軽々と越えてきました。
その差は予想以上でした。
このα7R IIの、「昼画質の向上」は、良いことばかりではありませんでした。
「僅かなブレでも、画質に影響する」
今まで(α7R )では、無視出来たバルーンの動きに起因するブレが、α7R IIでは画質の劣化として判別することが可能になってしまったのです。
ドローン用のブラシレスジンバルを流用した専用のスタビライザーを用いています。
シャッター速度も常識の範囲。
今までは、問題と思ったことは一度もありません。
しかし・・・α7R IIでは、気がつけなかったブレがモヤとして写ってしまうのです。
発売直後の実務では、2/3の素材がブレにより使う事が出来ませんでした。
今までなら、90%以上は用いる事が出来ていた設定です。
もちろん、シャッター速度を上げで歩留まりをよくすることは可能です。
それでも、モヤの程度が良くなるだけで根本的な解決ではありません。
α7R IIの性能を出し切り、歩留まりを良くする手段はただひとつ・・・
上空でのシャッター数を既存の3倍とする。
これで解決です。
55mmレンズを用いて、3列・360°の超高解像度パノラマを制作するには、PSB(Photoshop lage)上に80枚程度のTIF画像を貼り付けることになります。
撮影現場では、バルーンが風により漂います。
パノラマ撮影ではノーダルポイント静止が基本です。
枚数の少ない撮影でも、バルーン空撮ではこの点が問題となります。
80枚の素材を必要とする超高解像度パノラマでは、このバルーンの漂いも計算しつつ素材撮影が行われます。
α7R の世代でも、1カットに500枚の撮影を行うのはいつものこと。
これを3倍の素材撮影をすれば、ブレによるロスを除いても適切な素材が残るだろうという算段です。
ここで、α7R IIの撮影素材の容量に関して述べます。
RAW+Jpg = 48MB
これは、先日の実務撮影の平均値です。
これ以降は、1カット=50MB として計算していきます。
今までは、64GBのSDカードを標準としていました。
実務では128GBを用いる事もあるのですが、メインは64GB。
上空からバルーンを下ろしSDカードを交換。
次の撮影中にPCにデータを転送するというスタイルで大きな問題はありませんでした。
この64GBのカードを用いると・・・
64GB ÷ 0.05GB(50MB) = 1280枚
この意味するところは、1階層のパノラマ撮影の際にSDカードを打ち切るという事です。
なお、実務では、この商品が複数枚出ます。
つまり・・・
1日に、この内容を4階層(5000枚)以上撮ることも想定する必要があります。
なお、パノラマ画像も全てがこの様な商品ではありません。
良く出るのは、4枚の撮影素材から1枚のパノラマ画像を合成するような簡易的な商品です。
この様な用途に64GBのカードは用いる事が出来ます。
しかし・・・
もっともシビアな撮影となる超高解像度パノラマの撮影に64GBのSDカードは用いる事が出来ない時代に入りました。
←これが、2015年10月現在のベストです。
転送速度では、300MB/sクラスが存在しますが容量(64GB)が足りません。
512GBという更なる大容量が存在しますが速度(90MB/s)が足りません。
256GB ÷ 0.05GB(50MB) = 5120枚
十分なショット数が確保出来て、一世代前の95MB/sを大きく上回る転送速度を誇ります。
レキサーのSDは初めての採用であることから信頼性の部分は未知数です。歴史のあるブランドですので、信頼は出来とは思いますが・・・
気になることが出てきたら、どこかでご紹介します。
・Thinkpad T530 (Windows10 64bit)
・850 PRO MZ-7KE2T0B/IT(サムスン)
・BSCR20TU3(バッファロー)
256GBのSDカードがココまでの速度が出せるようになりました。
転送速度は、今までの5割増し(95MB/s比較)となります。
ここでの主題は、「高解像度パノラマのバルーン空撮」です。
この用途なら、このスペックは期待通り。
書き込み性能は、これで十分。
読み込み性能は、理想的には300MB/s。
早ければ、2016年に実現出来るのでしょうか?
なお、このタイミングから現場に持ち込むPCにSSDが必須となりました。
今までは、容量の関係から速度が劣ってもノートパソコンにはハードディスクを選択しています。
256GBのSSDでは・・・今までも容量が足りていませんでした。
何よりもSDカードの転送速度がボトルネックとなり、SSDの速度は活かしきれなかったのです。
これが、最新世代のSSDにより速度と容量のどちらもが解決出来たことから、これからはSSDのみが選択肢に入ることになります。
この場合も、メーカー製(BTO含む)では、このテストに用いた2TBなどという容量のSSDが搭載出来ません。
複数の256GBのSDカードのバックアップ先となる事からこの容量が必要です。
α7R IIの登場により、まずはSDカードの総入れ替えというお話しでした。
41) 専用車両の集中メンテナンス
40) α7RⅡ狂想曲:その9 Vix
39) α7RⅡ狂想曲:その8 ThinkPad P50考察
38) α7RⅡ狂想曲:その7 ThinkPad P50到着
37) α7RⅡ狂想曲:その6 バルーンを独自開発する空撮会社
36) α7RⅡ狂想曲:その5 レタッチャー用ワークステーションのテスト開始
35) α7RⅡ狂想曲:その4 今までは空冷でした・・・
34) α7RⅡ狂想曲:その3 超高解像度パノラマ加工に必要なパソコンとは?
33) α7RⅡ狂想曲:その2 現場で必要なパソコンとは?
32) α7RⅡ狂想曲:その1「α7RⅡ」後という世界・・・
31) α7Rの業務投入開始
30) 撮影時の服装に関して
29) α7R赤外リモートレリーズ
28) α7Rリモートレリーズ制作
27) α7R ILCE-7R到着
26) 機動性という品質
25) 強風下の撮影を可能にする「ヒューズ」
24) ミラーレス一眼はバルーン空撮のスタンダード
23) 眺望撮影の、「良い例」と、「悪い例」
22) 2009年版:空撮プロが使うレンズ
21) 0[Zero]のバルーンが風に強い理由。その1「尾翼が大きい」
20) 最大風速13m/sの乱流下のテスト画像公開
19) 開発失敗バルーンの例
18) バルーン小型化の研究
17) バルーン独自開発の道程
16) バルーン素材としての塩ビとエバール
15) 新型の開発は一時停止
14) バルーン繋留角度解説
13) 寒冷地専用バルーンテスト
12) 空撮スペシャリストの技
11) 空撮と送電線
10) 空撮の保険について考える
9) 2008年版:空撮プロはどのデジカメを使う?
8) ヘリウムガス不足と値上状況
7) 標高2100m:高地撮影テスト
6) 機材開発例:レンズマウント
5) バルーン空撮と風について
4) バルーン空撮テスト
3) 空撮システム開発解説
2) バルーン空撮専用車両
1) バルーン空撮とヘリウムガス