9月初旬に開発の目処が経ったことは前回の記事で述べています。
その後「航空写真ナビ対応」「夜景撮影対応」「軽量化」「動画性能の向上」と総合的な改良を行っていました。
特に、航空写真ナビへの対応が重要な改善点です。
Ver4.0は動画の撮影は可能でした。
しかし、垂直精度を要求される「航空写真ナビ」「パノラマ空撮」には採用に不安がありました。
そのために、動画と航空写真ナビで別々の撮影システムを必要としていました。
現状ではスペアを含めて4機の撮影システムを撮影に持ち出さなければなりませんでした。
航空写真ナビ撮影用(Ver1)×2台
動画撮影用(Ver4.0)×2台
これが一つにまとめられれば・・・
航空写真ナビ+動画撮影用(Ver4.10)×2台
メンテナンスの手間や、スペアパーツの管理などを考えると新旧混在から抜け出せるのには大きなメリットがあります。
2009/09/30撮影
図① のカメラを除く重量が890gとなっています。
新たに追加された図②と最重量物であるバッテリー図③を含んだ重量です。
普通のバルーン空撮会社が用いる撮影機材の重さと、「ほぼ同じ」か「多少軽い」程度の重量です。
「多少軽い」といっても中身が違います。
フルサイズデジタル一眼レフを搭載。しかもバルーンブレを軽減するジャイロを搭載しての890gです。
別の機会に触れますが撮影部以外にも軽量化は進められています。現状でも、今年の春の段階から総重量では大幅に軽くなっています。
世界は広いので、3軸ジャイロ搭載の撮影システムをラジコンヘリなどに搭載するなどという例は見つかりました。
それらは2kgを超える重量となっています。(同様にカーボンなどをつかっています)
もっとも重要なのは、「この性能」で、「この重量」に収めたという点です。
さて、このページのタイトルをもう一度ご覧下さい。
「重量800gでも驚異的な性能を示す」
現在の重量は890gです。
ですがタイトルは800g・・・
このVer4.10を制作している段階で、Ver5の設計が見えています。
それではさらに100g程度の軽量化が見込めることから、このタイトルになりました。
ここからは同業者向けの専門的な内容となります。
今まで(Ver3まで)は単4ベースのニッケル水素4セルを電源としていました。
制御するサーボは少なく、ほとんどの稼働時間は最小限のトルクしか入らないため、重量50g程度の電源で十分でした。
Ver4の開発の初期から電源の強化は必須項目となりました。
最低でも2軸に入る2セットのジャイロの消費電力は無視出来ません。
リポの採用も考えられたのですがその用途から今回は見送りました。
上空での過放電に対するケアが十分にできないというのが大きな理由です。
実容量・重量・入手性・信頼性の全てをバランス良く実現出来る電池として、エネループ単3(初回マイナー後)を6セット(24本)用意しました。
今は仮として、電池ボックスに入り矢印の位置に取り付けられています。
最終的にはエネループを結合し専用バッテリーを製作します。(電池ケース分の軽量化)
エネループはその放電特性から無くてはならない機材になりました。
空撮以外にも、カメラ本体やフラッシュの電源として活躍しています。
特にフラッシュに用いると、「外部電源がいらない」と思えるような活躍をします。
送信機・受信機(空撮用)
カメラ・フラッシュ・拡張機器(撮影機材)
マウス・キーボード(パソコン用)
社内では様々な電源をエネループに置き換えました。
購入本数は・・・既に100本を超えています。
その様な優れた電池なのですが・・・
ラジコンヘリコプターには絶対につかってはいけません。
受信機用電源に、市販のニッケル水素を転用するというレベルの上級者には釈迦に説教かもしれませんが念のため記します。
エネループは最後の電圧の落ち込みが激しすぎて墜落する可能性が大です。
使用途中でも優れた電圧特性が災いし残量が明確にイメージできません。
この用途なら・・・従来の2700mAhの方が遙かに安全です。
ラダーに電圧が落ちた知らせが入ってからでも、機体は戻せます。
エネループなら、「ピクッ」が入った5秒後に制御不能になります。
最後まで使い切れるエネループだからこそ、この問題が発生します。
ラジコンヘリコプターのイメージで言うと、エレベーターとエルロンにジャイロが入っています。
本来のラダー制御と違い、トルクを必要とすることから従来サイズのサーボを搭載しています。
受信機はJRの2.4Ghzの RD931とRD631を搭載。
送信機は一台で制御しています。
普通のバルーン空撮には用いないような装備を追加しての890gです。
普通の撮影機材に出来ることは全てできます。
どれほど徹底した軽量化が施されているかがわかって頂けると思います。
もちろん・・・完成品にて風速15m/sにてのテストを実施する予定です。