Ver6_img

ボルボの内装デザイン素直に良いと感じる

ボルボC30 フリーフローティング・センタースタック ←ボルボC30 フリーフローティング・センタースタック

今ではボルボ内装デザインを語る上で避けられないのがフリーフローティング・センタースタックです。
V50(現行S40)のタイミングで発表されたときには・・・
「インパネの後に物が置ける・・・そんなに大きなメリットか?」と機能に疑いを持ちました。

V50などのデビュー時にはアルミマット調(樹脂)のデザインが装着されていたのも私のイメージを落とす原因でした。
XC90のあとに初代TTに乗っている身では、「アルミ調」では納得出来ませんでした。

過去記事:'07/08/27「Audi TTに久しぶりに乗ってみた」

アウディは無垢のアルミ。
特に初代TTはヒンヤリとした手触りから素材の厚みまで感じられます。
これと比べると・・・所詮は偽物と言わざるを得ません。

コラム:ボルボ内装のお約束

ボルボ本国であるスウェーデンは当然ですがとんでもなく寒い場所です。(行ったことはありません)
ボルボのモデルは伝統的に、この寒さの中での使い勝手を考えてつくられています。

例えば・・・
ミトンの手袋をしたままでも開けられるドアオープナーなどがその典型的な例です。
つまり・・・
TTの様にアルミ削りだしの材料を室内に用いることがありません。
アルミ削りだし部品を室内に使うと、触れた途端に指が張り付くという事態に陥ります。

「アルミの無垢を使っていないからダメ」と言う気はないんです。
アルミの無垢を使わないということはスウェーデン車にとっては当然の配慮からです。
ショールームにて「アルミ調で高級感ないじゃん」と声を出して言わないようにしましょう。

私的には・・・
日本で使う車なので、アルミ無垢を触りたいと思います。(矛盾しているって?)

ウッドパネルにすると、フリーフローティング・センタースタックはデザインの意味を持つ

木目調フリーフローティング・センタースタック C30や最近のV50には積極的にウッド調のフリーフローティング・センタースタックが採用されています。
このパネルとファブリックシート(ベースグレード専用)の組み合わせを見たときに、フリーフローティング・センタースタックの評価が大きく変わりました。

過去のボルボのモデルの中にもスウェーデンを感じるデザインはありましたがこれほど北欧であることを押し出しているデザインはありません。
暖かみを感じさせ環境にもやさしい。
これほどボルボらしい内装は無いと思います。

プライウッド調 フリーフローティング・センタースタックの断面拡大です。
表面は本物の木です。
フロア材などでお馴染みの、「オーク」です。

プライウッド調と呼ばれる構造です。
本来のプライウッドのイスなどでは本物の木材を何層か貼り合わせています。これにより年輪のような模様が出てきます。

ボルボのインパネでは最上部のみが「本物」
後は樹脂で出来ています。
「それじゃ偽物ですか?」
それは早計な結論です。

ボルボは安全と同じくらいに環境に留意している自動車メーカーです。
「安全と環境の為にはデザインや使い勝手を犠牲にする」という素敵な会社です。(褒めています)
日本のメーカーがBピラーを外していた頃(80年代)に、当然のように「安全」「環境」を中心に車の開発を進めていました。

本題に戻します。
木材という資源を有効に使うために目立たない断面は狙って樹脂にしています。
この断面の樹脂化はさらに意味を持ちます。
木材は樹脂など比べると水分を吸収する特性があります。
「それなら、車内の不要な湿気を吸い取ってくれるから快適!」
それも少し違います。
量が少ないから、効果を感じるほど吸湿しないということもあるのですが車内の材料としては致命的な木の特性が出てきてしまいます。

  • 割れる
  • 狂う
  • 伸びる

    車内で木材を用いるにはこれらのネガを如何に潰すかがポイントです。
    プライウッド調のパネル材を全て木を使った場合は・・・小口から割れが入る可能性が高くなります。
    後で触れますが手触りの感覚を良くするために塗装は最低限としていることから、塗面により防湿効果を狙うことも出来ません。
    長く使っても傷まない・手触りがよい・見た目がよいの全てのバランスを取って、このウッドパネルは設計をされています。

    アウディA4ウッドパネル なお一般のウッドパネル(写真は新型のアウディA4)は、「堅い木を薄くつかう」事で欠点を補っています。
    普通のウッドパネルはメープルなどに代表される堅い木が使われています。
    これを薄いツキ板にし金属に貼り付けています。
    元職人としては曲線部になると木目の辻褄が合わないのが・・・気に入りません。
    過去に80年代のジャガーのウッドパネルの修復を行いましたがこの年代も同様の作りでした。
    なお、ロールスロイス級は極厚の本物です。

    これらの堅い木は比重が高いため、木としてはヒンヤリとした手の感触を感じさせます。
    アルミの無垢材を多用するアウディなどにはピッタリの材料です。
    冷たいアルミと冷たい木。
    窓も小さめなのがアウディの常です。
    全ては、「クール」にまとめられています。

    V50ウッドパネル ボルボの木目パネルは少し違います。
    堅めの木=オークを薄くつかっています」
    オークはチークやメープルと比べ比重が軽いため素材の中に空気を多く含みます。
    これにより、触れると暖かい木になります。
    日本の床材などでは厚い塗膜によりオークに直に触ることができませんが・・・
    ボルボは違います。木の厚みが手に伝わります。(こんなウッドパネルはボルボだけ)

    この「暖かい木」の新しさを、もっとも感じるのはドアノブです。
    この手触りは自動車の部品としては今までに無かった感覚です。
    気持ちが良いのです。
    アウディなどを筆頭に「クール」なデザインを目指している車は沢山あります。
    ところが「暖かい」を本気で狙った車はありませんでした。

    写真はV50のテキスタイルシートの黒系です。
    個人的にはこの組み合わせは頂けません。
    ウッドパネル=暖系
    黒シート=クール系
    当然ですが暖系+暖系。
    クール系+クール系が基本です。
    V50にはスプリンググリーン(カナブンみたいな色:この色はアルミとの相性が抜群!)という、もの凄いクールなテキスタイルが用意されています。
    こちらと、アルミパネルがおすすめです。(最近のアルミパネルは質感が上がっている?)

    C30テキスタイルシート 実はボルボV50・S40・C30などで、このウッドパネルと相性がいい組み合わせがピンポイントであります。
    C30に設定されているテキスタイルシートです。
    写真は、「レッド」ですが同系のシート地で、「ブルー」の設定があります。(実写素材がないためレッドで代用)
    ボルボと言えばレザーシートというイメージがあるかと思います。
    私も、過去に購入している8台全てがレザーシートでした。('63~'04年式)
    先代のV70まではボルボのテキスタイルシートはデザインの観点からは褒められた物ではありませんでした。
    実用品としては一級ですが自慢したくなるようなデザインではありませんでした。
    ところがC30やV50のテキスタイルシートは違います。
    「遊び心はあるのに子供っぽくない」とでも言えば良いのでしょうか?
    アウディとは別物のデザインセンスがいまのボルボにはあります。
    先代のV70の頃は心配しましたが今のボルボには安全と環境以外にもデザインという魅力が加わりました。(個人的に、850から先代V70までは遠慮します)

    北欧デザイン:イケア・ポエング

    イケア・ポエング C30のブルーのテキスタイルシートはこのアームチェア(イケア・ポエング)をもう少し地味にした感じです。
    このイケアのアームチェアは自宅のリビングに置いてあります。
    このイスはイケアの定番品です。

    このイスはカバーにより価格が\ 7,900からと低価格であることが魅力です。
    一番安いカバーでも機能的には十分なのですが上級のテキスタイルにすると掛け心地はさらに良くなります。
    このイケア・ポエングとC30のシートは私の中では完全にイメージが一致します。

  • 北欧デザイン:フリッツハンセン・セブンチェア

    フリッツハンセン・セブンチェア 事務所にて使っているセブンチェアです。
    定番品なので特に説明は無い・・・訳ではないのです。
    ボルボ・C30のオークのウッドパネルは当然ですがプライウッドのチェアを意識しています。
    セブンチェアと言って、どの木目をイメージしますか?
    多くの方はビーチなどの北欧らしい白木のハズです。

    それではC30は、「なぜオークなのか?」
    これにも、キチンとした答えがあります。
    車の中は日焼けするから。
    これが最大の理由です。
    オークなども日焼けはするのですがビーチなどと比べるとわずかです。
    キチンと検証したのでないのですが・・・日焼けをすると、白い方向に変色していきます。
    ビーチなどは赤身が強くなることから車内での使用に向かないのです。

    なお、事務所でつかっているビーチ材のセブンチェアは変色することがありません。
    直射日光が入らないデザイン事務所にて使われているイスです。
    設置してから3年経っていますが新品のピーチ材の質感を保っています。

    Home | ドローン空撮 | バルーン空撮 | 社長ブログもどき | 会社概要