昨年の暮れに、私が修業時代を過ごした埼玉の原口工芸に行ってきました。
この工房で使われいる私が組んだプログラムが入っているパソコンが壊れたので、そのメンテナンスです。
忙しかったとは言え、10年ぶりの訪問です。
今の私があるのはここでの数年間の修業時代のお陰です。
10年ぶりに工場に入りました。
全くと言ってかわっていません。
機械の配置や空気なども修行時代のままです。
パソコンのメンテナンスの風景
この作品は平成17年度の全国建具組合連合会主催の展示会にて、見事に内閣総理大臣賞を受賞した作品です。
詳しくページはつくりますが斬新なデザインと必要な手間をかけられている絶品です。
私も、この道を究めようとして人間ですので、これと同じよ雰囲気の組子をつくることは出来ます。
しかし・・・80歳で、これをつくれるかのか? と問われると・・・恐らく出来ないと答えるしかありません。
私の師匠である、原口工芸の原口竹春さんが偉大なのは何歳になっても衰えない集中力と、常に新しいことに挑もうとする姿勢です。
私が一生という時間を使っても追いつけないと思える方です。
この日は内閣総理大臣賞を受賞した、作品を拝見し、非常に満たされた気持ちになりました。
人が造った物で感動するということは過去に数回しか無いのですが久しぶりに職人の作品で心が動かされました。
この組子は本物です。
この日はこのような嬉しい話しだけではありませんでした。
組子をつくる職人が直面している厳しい現実が表面化していました。
私の修行した原口工芸では師匠の引退をもって廃業する可能性が高いとの話を最初にお伺いしました。
この原因としては後継者がいないということが理由の一つなのですがもっとも大きな原因が組子そのもの衰退です。
私が廃業してから5年。兼業となってから12年が経過しています。
私のいる山梨では80年代後半から、既に組子は無くなる方向に動いていました。
恐らく、全国でもっとも早く組子の衰退が始まった県です。
この流れは全国に広がりつつあり、原口工芸の商圏となる関東では本格的な需要の枯渇に入っています。
組子職人を挫折した私ができることは組子文化を守ることと考えています。
これから、組子関係のコンテンツを増やしていきますのでよろしくお願いします。
原口工芸
048-521-2672