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木の裏と表 今日はDIYのお話し

物干し制作中

ゴールデンウィークに、テラスをつくりました。
和風住宅の屋根に、無理矢理つくっています。
テラスというよりも、少し高級な物干しですね。

←GWなので、車はありません。ガレージを自由に使うことができます。(車4台分)
最大で、4mを超えるような材料の仕込みを行えるのが自宅兼会社のガレージの魅力です。
メルセデスの商用車は常に会社=自宅の敷地 にあることから、休み中の材料購入にも助かりました。

本題に入ります。
ここではテラスに用いる木材を中心に材料の使い方と選び方。
賢いホームセンターの活用法をご紹介します。

辞めたとは言っても、若い頃は頂点を目指していた職人です。
不思議なIT企業の社長(もどき)です。

辺材(木の白いところ)は腐りやすい

オーストラリアサイプレス

小口(木材の断面)から、木の、「白いところ=辺材」と、「赤いところ=心材」が見てとれます。
全ての木材に言えることなのですが辺材は、「強度」「耐久性」に劣ります。
桧や、サイプレス(今回のデッキ材)などの、「その材料の良いところ」と述べられているのは心材の部分となります。
ホームセンターではデッキ材としては十分に機能しないサイプレスが売られています。
購入には十分注意してください。

それではサイプレスの話を・・・
今回のデッキ材はオーストラリア産のサイプレスという材料を使いました。
見たことはあったのですが実際に使用(加工)したのは初めてです。
デッキの場所は自宅のリビング(2階)の直前。
素足で入ることになるので、何よりも手触りを優先しての選択です。

ちなみに、「デッキ材は木表を上に」は排水と割れの観点から。
室内では、「木裏を上」と言うのが大工の常識だそうですが・・・
個人(元組子職人)的にはいつでも木裏を上にしたいところです。

サイプレスの事をネットで調べると・・・
・耐久性がある
・シロアリに強い
・どちらも(心材)

この様に書かれています。
桧よりもシロアリの耐性が高いとされていますが・・・
これはビタミンCをレモンで図るのと一緒ですね。
シロアリに限定すれば、ヒバなどの方が耐性があります。
なお、加工を行うと、桧のアテ(硬い部分)に似ている(加工性)と感じました。
耐久性があるというのも納得できます。
香りは桧とは全く違います。
ヒバとも違います。嗅いだことの無い、木材の香りでした。
サイプレスはデッキ材の定番である「ウリン」や「イベ」よりも、国産材に近い色合いが気に入りました。
1~2年の耐久テスト後に問題がなければ、次回も、サイプレスを使いたいと思います。

公共事業などのデッキで、明らかに辺材部分が削ぎ落ちたような状態のデッキを見掛けることがあります。
「ウリン」などは辺材が無いとうイメージを持っていましたので、
「辺材があって、防腐処理をしないのはどんな材料なんだろう・・・」と思ってました。
今回のデッキ製作で、この犯人がわかりました。
それがサイプレスです。

オーストラリアサイプレス この辺材が付いている材をデッキに防腐処理無しで用いると・・・
数年後に、辺材部分が腐ってきます。

辺材部分が欠けてしまっています。
この様な形で劣化は進行します。
中途半端な設計士が「サイプレスはデッキ材として防腐処理無しでも使える」として、辺材付を採用した結果です。
キチンと、「辺材は弱い」という認識をしていれば、材料の搬入時点で止める。
完成検査時に、ダメをだす。
いっそのこそ、防腐処理をする・・・
色々と対策は出来るはずです。

なぜ、ホームセンターでの購入なのか?

チーク

子供部屋には高級材である「チーク」を一部に使いました。
これは事務所の改築工事に使った余りです。
この、事務所に用いたチークはネット通販にて購入しています。
実店舗と、あまりに価格差があることからの妥協です。
しかし、ムク材の特性から、「ロス」が発生すると予測し、2坪ほど余計に購入をしていたのです。
この、「ロス分」を子供部屋に回しました。

ちなみに、チークの無垢材は非常にキズが付きやすい材料です。
子供部屋でも、床材には使っていません。
キズが付きにくい、腰壁に用いました。

オーストラリアサイプレス

本題のデッキ材のサイプレスに戻ります。
この材料はホームセンター(2店舗)にて購入しています。
理由は二点ありました。

  • 材料を選別出来る
  • 為替の関係から、割安なタイミング

    ◆材料の選別
    耐久性の無い辺材が「少ない」材料を選んで購入しています。
    同じ系列の二店舗のホームセンターの全ての在庫の中から、ベストと思える選抜をしています。
    「ロス」を見越さない購入ですので、材料のムダが発生しません。
    デッキの全ての材料は木表で95%はカバー出来ました。
    これを、ネット通販などで購入した場合は、「辺材が多いから」という理由での返品は困難と思われます。
    何を言っても、「こっちはプロの材料屋。素人が何を言う・・・」で片づけられます。
    なぜなら・・・
    この材料の特性をキチンと理解している材料屋なら、その様な材料を仕入れることしません。
    (お客様の信頼に関わりますから)
    ちなみに、購入後に見落としていた「ワレ」に気が付き、2本を交換しています。
    こういうときも、通販よりも実店舗が有利です。

    ◆為替の関係から、割安なタイミング
    購入は2009年のゴールデンウィークでした。
    この年の前半はオーストラリアドルが安かった事から、ホームセンターで販売されていた、サイプレスも割安になっていました。
    ちなみに、今回の2坪(タタミ四畳)のデッキです。
    これで、約5.5万円でした。(それでも、高級材)

    おまけ:ホームセンターでも昔の癖が・・・
    木材は多かれ少なかれ変形します。
    私たち(プロ中の職人)は木材の置き方で、この狂いを取ります。
    職人の修行の始まりは材料積みです。
    狂いを打ち消すように材料を移動するのですがこの作業中に「どのような材料が狂いやすいか?」
    などを理解します。
    ホームセンターでは陳列中に一面が乾き、本来は真っ直ぐな素性の材料を狂わせる事が多いのです。
    もちろん、この様な材料は適切な乾燥で真っ直ぐな状態に戻ります。
    ホームセンターでは・・・当然ですが材料はなすがままです。
    私はSPF材などをホームセンターで購入する際にも選別します。
    この時に、材料の狂いを消す方向に材料を置いてきます。
    すると・・・数日後に狂いが消えているなどということも、良くあります。
    ちなみに・・・
    私が好きなイケアは木材の使い方がなっていません。
    集積材のテーブルなどは木材の狂いを打ち消すために、木裏と木表を交互に組み合わせるのが正解ですが・・・
    こんな仕事はイケアの価格では不可能です。
    私は・・・今回のデッキ材も、「色」と、「耐久性」を加味しながら材料をキレイに列べています。
    屋根の下には辺材が多めの材料。
    常に、雨に濡れる場所は心材100%の材料。
    見る人が見れば、ただごとでは無いデッキなんですね。。。

  • セミプロ向けのお話し

    このページは木材加工のプロの方が見ることが多いので、プロ向けのコメントを残します。

  • 塗装の吸い込みは悪い
  • 狂いが予想しにくい

    ◆塗装の吸い込みは悪い
    ステイン系の塗料にて仕上げています。
    予想よりも、吸い込みが遅めでした。
    組み立て前に2度塗り
    組み立て直後に1回
    組み立て1週間後に1回
    都合4回の塗装が必要でした。
    組み立て前に3回。可能であれば、塗装に1ヶ月の余裕を見たいところです。

    ◆狂いが予想しにくい デッキ材に用いられる他の材料よりは狂いは少なめの印象です。(米スギとか、ウリン)
    今回も、10%ほどの材料に、酷い狂いが発生しました。(二間材)
    これが・・・桧などと比べると予想がしにくい材料でした。
    上記の塗装にも絡むのですが造作材と兼用とし、20%程度のロスを見積もるのが適正かと思います。

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