俳優への寄りから、海原を見渡せる大旋回を含むルーズへ。
軽量マルチコプターを用いると、1カットでここまでのワークが可能です。
・船まで50cmまで接近
・離発着は船上から可能
・カメラ船不要
←船上からの撮影の場合は航跡によりこの様な撮り方は出来ません。
重量級(一般的な)マルチコプターでは俳優までの十分な寄りが出来ません。
カメラ船を用いて、このワークを行い旋回を行うとカメラ船の航跡が映ってしまいます。
安全・映像のインパクト・確実性
これらをバランス良く組み合わせて、即席で考えたワークです。
このページで紹介しているのはロケハン時のカメラテスト映像です。
海が穏やかであった事もあるのですが目論見通りのワークが出来ています。
しかし・・・
本番では想定外の事が起こっています。
・離陸時に船が止まる
・船が大型となる
一度止まった船は動き出すとプロペラの反作用により曲がります。
この反作用は速度が一定になるに従って弱くなります。
この現象は普通の用途なら問題にはなりません。
船長には、「船は島に向かって一直線に」と指示があると推測されます。(確認が取れませんでした)
本番時にはこの現象により船は蛇行する事となりました。
船と、島を結んだ船上の先にホバリングをすれば良いところが・・・
左右に振れる船にあわせて、機体を移動させるという要素が入ってしまいました。
この日が0 [Zero]の海上撮影のデビュー。
海上での経験が無い事から、「船を止めないで下さい」のアドバイスが出来ませんでした。
本番は3回のフライト。
1回目は船がかわった事により前方視界が悪くなった事が原因と考えて不発。
2回目に、パイロットの位置取りを変更。撮影中に反作用に気がつく。
3回目はある程度の加速時間を置き、船が安定した段階で撮影開始。(自己判断)
事情を説明して、4回目という選択肢もあったのですが・・・
3回目で、ある程度の撮影は完了。
この日も、他の撮影も控えている事から提案は控えました。
カメラテスト時には容易に、出来たワークが本番で出来ていない。(自己評価)
数多くの現場で、様々な事に遭遇して経験値が上がるという具体的な例となりました。