トレスホームズ プラスゼロ
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良くある質問 木製玄関ドア

質問:
床上浸水を想定する必要があります。

回答:
浸水を想定した建材の選択はある程度可能です。

断熱材や工法の選択である程度の対応は可能です。

もっとも有効なのが水害が想定される場所に住まないこと。
どうしても、そのエリアに居住する必要があるなら、火災保険に水害特約を付ける事。

水害特約を付けても、断熱材や床の構造に工夫をしておくことは有効です。
全体の支払総額が限られることから、別のダメージエリアのリフォームに有効に回すことが可能になります。

床断熱材

浸水は当然ですが1階の床から始まります。
浸水のダメージをもっとも受けやすいのは1階床の断熱材。

床の断熱材は発泡プラスチック系(スタイロフォームなど)とグラスウールに二分されます。

浸水時のダメージの少なさという観点では発泡プラスチック系が優れます。
・水を吸わない
・変形しない

この特徴はグラスウールにはありません。
グラスウールでは、「落ちる」事も十分考えられます。

床の仕上げも考える必要があるのですが・・・
根太間のスタイロフォームの上に無垢材という組み合わせが床上浸水にもっとも強い構造になります。

床の断熱材は壁などと比べて物理的なスペースが少なくなります。
薄くても性能が出せるという観点からも、スタイロフォームなどに代表される発泡プラスチック系が優れます。

ご予算が許すなら基礎断熱なども検討に加えても良いでしょう。

どのような断熱方法を選択しても、排水に関する配慮は十分にしてください。

壁断熱材

床上浸水は壁の内部にも水は入り込みます。
対応は床と基本的は一緒です。

柱の間にホッチキスの様な物で固定するグラスウールは吸水後に垂れてきます。
水に濡れたグラスウールは交換が基本的に必要です。
水を吸わずに、変形しない発泡プラスチック系が優れます。

少しでも床上浸水が想定出来る場所ではセルローズファイバーは避けた方が良いでしょう。
古紙を原材料としていることから、浸水には極端に弱いと言わざるを得ません。
床上50cm程度の浸水でも、壁内の全交換などという大規模なリフォームが必要になります。

木造在来? ツーバイフォー?

一部の木造在来を販売するハウスメーカーや工務店のWebサイトでは
「ツーバイフォーは浸水すると立て替えが必要」などと表現されています。

さすがに、立て替えが必要な状態なら、どのような工法でも「立て替えが必要」です。
カビが生えた程度では強度は全く問題ありません。

壁は垂直に立っている為、水切りも問題はありません。
水が壁の中に貯まるという観点からはどちらの工法も一緒です。

しかし・・・
ツーバイフォーには浸水という観点からは欠点があります。
「気密性が高い」
つまり、壁の中が乾きにくいのは明らかに欠点と言えます。
ツーバイフォー+グラスファイバー(セルローズファイバー)では壁の断熱性能の多くは失われると思っても良いでしょう。
その後の悪臭にも、相当悩まされる事と思います。

ツーバイフォー+発泡プラスチック系の場合は断熱材に水分を保持しない事は有利。

ツーバイフォーが悪いと言うよりも、気密性が高い住宅が結果として床上浸水に弱いと言うことです。

内装材

浸水のダメージが少ない。
浸水後の交換が容易。

この観点から、内装材は選ぶことになります。

まず、クロスと呼ばれる壁紙は下地のプラスターボード(石膏ボード)にも被害が及ぶことから広範囲の張り替えが必要になります。
珪藻土やしっくいなども、下地は同様にプラスターボードを用いる事から被害は免れません。

床上浸水と言う観点からのみでは木材などの腰壁の方が有利です。
一時的に反りが発生しても、水分が抜けると元に戻る可能性が高い。
変色しても、再度の塗装が容易です。
50cm程度の床上浸水後のリフォームなら、無垢材の腰壁も検討してみてください。

床に関しては複雑です。
仕上げ材以外にも、複数の下地が用いられる事が多い為、一概にコメントが出せません。
表層は問題無くても、内部(フローリング材のさらに下)がグズグスになってくる可能性が高くなります。
ここの補修は大規模になってしまうのでなんとしても避けたいところです。
乾燥という観点からは複層になっていない無垢材が一番有利です。(一層床材の直下が断熱材)
基礎断熱+一層の無垢材。
床上浸水という視点のみではこれが最良の組み合わせになります。

畳は普通の畳なら問題ありません。
本畳床と呼ばれる昔ながらの畳は床上浸水には弱くなります。
濡れた後に、取り外して丁寧に乾燥させれば問題は無いのですが一般の方にも対応が面倒ではないかと思います。
なお、通常(スタイロ畳)の畳も、浸水後は取り外して乾燥させてください。

木造在来の真壁和室は避ける

浸水後のダメージが大きく、リフォームのコストが必要なのが和室です。
真壁和室と呼ばれる本格的な和室は床上10cmの被害でも甚大なダメージが入ります。
まず、内装材を兼ねている柱の交換は基本的には不可能です。

白木仕上げの建具も、狂いが大きく入り、色調も大きく変わってしまいます。
壁も全て塗り替えが必要。
思い切って洋室にリフォームすることがもっとも安価に切り抜ける方法になります。

まとめ

一般的に言われること。
・床を高く上げる
・基礎パッキンを用いる(床下浸水までの猶予を稼ぐ)
・基礎に排水溝を設置(基礎内に水の排水)
・水害特約を付ける
・水害が考えられる地域には住まない

もう一歩踏み込んで
・断熱材は発泡プラスチック系
・腰壁の無垢材採用の検討
・真壁和室を避ける
・コンセントの位置も高めに
・1階の床材は複数構造にしない
・工法は木造在来が最適